近年、激甚化の度合いを増す台風ですが、クルマを運転するうえで気を付けなければならないのは、雨だけでなく風も同様です。どれだけ危険なのか、JAFが過去のユーザーテストを公開し、改めて警鐘を鳴らしています。
台風が近づいている、クルマや自転車で出かけなければならないけど、控えるべきか否か――生活するうえで迷うことがあるかもしれません。JAF(日本自動車連盟)が2023年8月2日(木)、「ドアが壊れる!? 車や自転車、歩行者への影響は?」と題した、突風や台風による強風時の危険性に関するユーザーテストの結果を改めて公式ツイッターで公開し、注意を促しました。
これは今から3年半前の2020年3月27日にテストしたものですが、台風6号が日本列島に近づいているため、周知の意味でアップしたもの。2019年に発生した台風では、最大瞬間風速50m/秒を超える強風により、車が横転するなどの被害も発生したことから、強風時における自動車の乗降中や自転車走行、歩行者への影響や危険性について検証したといいます
「車のドア開かない!」「開いても壊れた」台風で気を付けるのは…の画像はこちら >>台風によって横転してしまった軽自動車(画像:写真AC)。
1つめのテスト「強風時に自動車から降りられるか?」では、軽ワゴンを用意。これに大型送風機を使用し、運転席側のドアに真横と後方から風が当たるよう再現しています。風の強さは風速20m/秒、30m/秒、40m/秒の3種類で、ドライバーとして想定した成人男性(身長177cm、体重69kg)が運転席からドアを開けて降りられるか検証しています。
まず、運転席のドアに真横から風を当てた場合、風速20m/秒と風速30m/秒ではドアを支えながら、なんとか車から降りることができたものの、風速40m/秒では車から降りることができなかったとのこと。一方、運転席のドアに後方から風を当てた場合では、風速20m/秒と風速30m/秒ではドアが勢いよく開かないよう、押さえながら車から降りることができたものの、風速40m/秒では、ドアを開けた瞬間、勢いよくドアが開き180度近くまで曲がってしまい、ドアのヒンジやストッパーが故障したそうです。
2つめのテスト「自転車や歩行者は強い向かい風の中を前進できるか?」では、強い向かい風の中を自転車に乗って走行した結果、風速20m/秒の地点で走行することができなくなり、自転車から降りて押して歩いています。そして風速30m/秒の地点では、ついに自転車を支えることができなくなり、自転車が飛ばされました。
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JAFが軽ワゴンを使って行った「強風時に自動車から降りられるか?」というテストの様子(画像:JAF)。
一方、強い向かい風の中で傘を差して歩いた結果、風速20m/秒の地点で傘が壊れ飛ばされています。その後、大型送風機に向かって歩いていくものの、風速50m/秒の地点で前進することができなくなりました。
JAFではこれを踏まえ、近年発生している大型台風では、クルマの乗降中は風の向きや強さによって勢いよくドアが開いてしまい、周辺の車や歩行者にぶつかる可能性があります。また、ドアを閉める際に手を挟んでしまい、ケガをしてしまう恐れもありますと結論付けています。
また自転車での走行や傘を差して出歩く際は、転倒したり飛来物などによってけがをしたりする恐れだけでなく、自身の自転車や傘が飛ばされて二次被害を起こしてしまう可能性もあるため、強風が予想される日は車の運転や外出はなるべく控えるようにしましょうと啓発していました。