かねてから、日本を代表する和菓子として親しまれてきたもなか。餅から作った皮とあんこの相性はもはや説明不要な美味しさだ。
そんな古くからのイメージを打ち破る斬新すぎるもなかがあって…。
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“食べるトイレ”を表現した和菓子、その姿に衝撃… 「15年前…の画像はこちら >>
件のもなかの名は、「トイレの最中(もなか・さいちゅう)」。2021年に発売された同商品は、LIXIL榎戸工場と愛知県常滑市にある老舗和菓子店「大蔵餅」がコラボして生まれた。
LIXILはトイレや風呂、キッチンなどの水回り製品でお馴染み。意外すぎる組み合わせでできたもなかは、トイレの便器の形をした皮に、自分であんこを入れて食べる。
まさに「食べるトイレ」といえる斬新な和菓子なのだ。
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遊び心あふれた商品は、発売から2年経っても根強い人気を誇る。
ネット上でも、「公式が病気(狂ってやがる)」「このセンス、たまらんわ」「あんこの“あ”の部分を入れ替えるわけですね」「この形のもなかに、自分で餡を詰めるのも味わい深い」など、ユニークな発想を絶賛する声が多数あがっているのだ。
いい意味で和菓子の常識を覆す「トイレの最中」はいかにして生まれたのか、生みの親である大倉餅に取材したところ、「様々な裏側」が明らかになったのだ…。
今回、取材に応じてくれたのは大蔵餅の代表取締役・稲葉憲辰さん。社長自ら開発に関わったとのことだが、なぜトイレの形をした和菓子を作ろうと思ったのか。
稲葉さんは、「15年前、INAX(現・LIXIL)の会長と懇親会をしていた際、常滑は衛生陶器が有名なので、それに関連したお土産を作れないかという話になりました。そこで、私が『トイレの中にあんこを入れたお菓子を作りたい』と話して盛り上がりました。最初は、飲み会のネタで飛び出した話だったんですよ」と、当時を振り返る。
酒の席で冗談交じりに交わした話だったこともあり、その後は進展がなかったという。止まっていた時間が動き出したのは、2021年のこと。
「LIXIL榎戸工場の方から『工場の土産にできるお菓子を作りたいんだけど、何か面白い案ない?』と持ちかけられました。そこで、15年前の話をしたところ、『面白い』と盛り上がり、商品化に向けて動き出すことになりました」(前出・稲葉さん)。
トイレの型は3Dプリンターを駆使しつつ、15年前の構想が形になったのだ。
飲み会の冗談から始まった商品だが、作る際は強い思いを持って臨んだという。
稲葉さんは、「当時、コロナ真っ只中だったので、閉塞感がある時に笑える商品が必要なのではないかと考えたんです。やるからには、真剣にふざけることをモットーに取り組みました。15年前に比べると、『うんこドリル』や『うんこミュージアム』など、その手のものが受け入れられやすい時代になったのも良かったと思います」と話す。
一時は売り切れが続出し、現在も買い求める人が多いという。「トイレの最中」は、愛知県の大蔵餅店頭か同店の通販サイトで購入可能だ。
地元での販売を重視している印象を受ける。その点を指摘したところ、稲葉さんからは「常滑のお土産にしたいと思っているので、基本的に常滑市内で売ると決めています。東京や大阪のお店からも声をかけていただいたのですが、すべてお断りしました」という熱いコメントが寄せられている。
地元愛と遊び心が詰まった「トイレの最中」、ぜひ食べてみてほしい。