【プチ鹿島の本音】岸田文雄首相、説明不足が招く「〇〇はやらない」

最近気づくのは、岸田首相が「○○はやらない」と表明することがニュースになっていることです。「サラリーマン増税」とか「保険証廃止の延期」とか。これらはどう考えたらよいのだろう。
まずサラリーマン増税ですが、この件を一般紙で読むと政府は火消しに躍起というニュースが主でした。つまり、噂(うわさ)が出た後の対応が記事になっていました。元を調べると、政府税制調査会(首相の諮問機関)が6月末に岸田首相に手渡した中期答申を巡り、ネット上で「サラリーマン増税になるのでは」と言われ始めた。その後タブロイド紙も報じて騒ぎになった。
岸田首相としては「そんなこと考えてないのに」と慌てて否定したのでしょう。首相周辺が「政権全体へのレッテル貼りはアンフェアだ」と反発していたという記事も読みました。
一方で、なんでそんな話がネットで出てくるのか。先週の当欄で安藤優子さんも指摘していましたが「異次元の少子化対策」や「防衛費の増強」の財源が不透明です。よく分からないまま先送りされるなかで「もしかしてサラリーマン増税か」という不安な気持ちになった人が少なくなかったのでは? つまり、そもそもの首相の説明不足が、今回の「○○はやらない」「火消しに躍起」に繋(つな)がったようにも見えます。
同じようにマイナ保険証を巡る対応でも説明不足が問われていた。4日の読売新聞には元自民党総裁の谷垣禎一氏がこの問題について「拙速はいけない」「突破力だけではできない」と述べていた。「政治に対する信頼と共感をどうやって作っていけるか」とも。しかしマイナ保険証に関する首相会見翌日の各紙には「先送り」「小手先」「一時しのぎ」の文字が目立った。ここからどうやって「信頼と共感」を得るのか。注目だと思います。(時事芸人)