プリキュアの着ぐるみで女児との接触を繰り返した非公式“グリーティング”男性「女児に寄ってこられるってたまらないですよね」保護者は怒り心頭!“大きいお友達”も「風当たりが強くなり迷惑している」

好きなキャラクターの着ぐるみを見れば、なんの疑いもせずに駆け寄ってしまう子供の心理を悪用したなんとも気味の悪い問題が起きた。中年男性と思われる人物が、人気アニメのキャラクターに扮し女児と接触した様子をSNSに投稿し、「女児が抱きついてきた」などと自慢げに投稿したのだ。問題の起きた現地に向かった。
ことの発端は「プリキュアの着ぐるみ活動が中心」と自称する男性によるSNSアカウントの投稿だった。この男性は、茨城県ひたちなか市の215haもの広大な敷地内にある「国営ひたち海浜公園」内などで人気アニメのキャラクターの着ぐるみを着用し、主に未就学年の女児にグリーティング(握手や抱きつきなどの行為)を日常的に行い、その様子をSNSに投稿。他ユーザーからの「うらやましい。女児に寄ってこられるってたまらないですよね」とのコメントに対して男性は「昨日はかなりよかったですよ。女児が抱きついてきたり抱っこしたりしました。グリーティングは着ぐるみの醍醐味ですよね」などと返信していた。この投稿は行為を問題視したSNSユーザーによってまたたく間に拡散。これを受け、アニメの公式Twitter(現・X)は8月6日、注意喚起を発信した。
【ファンの皆様へのお願い】 pic.twitter.com/LoBMWxSNs5
この「プリキュアの着ぐるみ活動が中心」というアカウント男性によるグリーティング行為が行われていた公園では、どんな反応だったのか。公園内に毎日のように散歩に来るという50代女性に聞いた。「着ぐるみの人は去年の秋に見かけました。1人のときもあれば3人のときもあった。てっきり何かのイベントなのかと思ってましたよ。子供達もうれしそうに『プリキュアだー!』って近づいて喜んでいたし、私たちもその様子を微笑ましく見ていました。まさかそれが勝手にやっていたことだなんて、怖いわね。親は着ぐるみにまで注視しなきゃいけないなんて、本当に油断ならない世の中になってしまったものね」公園内で毎日のようにジョギングしているという20代男性も、着ぐるみをよく見かけていたという。
男性が頻繁に利用していた「国営ひたち海浜公園」(撮影/集英社オンライン)
「今年の夏前あたりは毎週来てましたよ。中央ゲートを抜けてすぐのプレジャーガーデン前あたりにいましたね。女の子だけじゃなく男の子とも接してました。軽くハグして頭を撫でたり、小さい子なら抱っこしたり。堂々と振る舞っていたんで、公園も公認の着ぐるみなのかと思ってましたよ」園内の飲食店で働く40代女性も着ぐるみを目撃していた。「この公園のスタッフはみんな知ってたと思います。問題を起こすわけじゃないから注意もしてませんでした。私たちも仕事しながら見かけていたので、中の人がどんな人かなんて知りませんでした」
だが、女児を持つ親からしたら、今回の問題はただ事ではない。SNS上では「怖い」「子供と勝手に握手しててくそキモいんやけど」といった意見のほか、「ゆるキャラでも中身がおっさんおばさんとかは普通にある。中身よりも目的がなんなのかって所の問題」「全国で模倣する輩も出そうで震えます」など様々な意見が飛び交った。現在、池袋の「サンシャインシティ」で行われている「ひろがるスカイ!プリキュアおでかけ!ひろがるワールド!」に子どもと訪れていた保護者も怒り心頭だった。
サンシャインシティ(撮影/集英社オンライン)
4歳の女児を連れた30代女性はこう顔をしかめる。「もし遊園地で目の前にプリキュアがいたら、子供は公式とか非公式なんてわからないから絶対喜んで近づいちゃうだろうし、子供が近づこうとするの親が止めても、今度は子供が駄々をこねたり泣いたりするので、親としてはどちらにせよキツいです」また「公園側の対応にも非があったのでは」と疑問視する30代女性はこう言う。「今回の件に限らず、よこしまな思いから着ぐるみバイトなどをする成人男性に自分の子供を触らせたくはないですよね。プリキュアを利用して女児に接した男性はよくないけど、SNS上でここまで炎上するまで非公式の着ぐるみを放置してた公園にも問題はあると思います…」4歳の娘を連れた20代男性もこう憤った。「娘ができてから、この手のニュースは注意して見ていますが、まさか子ども目的で着ぐるみを着ているなんて…。自分の娘がそんな奴に触られるなんて考えただけで吐き気がします。まあ、こういうショーを観にくる方の中にも成人男性は多く見かけるんですよ。でもそういう人たちは子供に近づかないようにしたり、離れた場所で観覧したりと気を遣ってる方が多かったので、なおのこと許せないですよね」
サンシャインで開かれているイベントの外観(利用者提供)
2004年から始まったアニメ「プリキュア」シリーズといえば、おもに未就学年の女児を対象としたアニメではあったが、“大きなお友達”と呼ばれる中高年の男性からの人気もある。「そんな中高年層ファンの中では暗黙のルールがある」とプリキュアファンを自称する48歳の会社員男性は言う。「僕ら中高年のファンの間では、ファンのメイン層はあくまで女の子たちだっていう共通認識があるので、プリキュアの映画が公開されれば、見に行く時間はなるべく夜の時間帯にするし、昼に見る時だって母娘さんの席から間隔を空けて見るようにしています。プリキュア好きのおじさんの中には着ぐるみを着用する方もいますが、それはあくまでコスプレが許されているコミケやイベントといった場で自分自身がプリキュアになるために行う行為で、女児に近づくための手段には決してしません。今回のように勝手にグリーティング活動をするのはあるまじきルール違反です。コスプレイヤーの肩身はただでさえ狭い。こういった行為をする人が出てくると、ルールを守ってコスプレしてる人からしたら、ものすごく大迷惑な話だと思います」
同イベントに訪れていた男性ファンたちからも、こんな悲鳴が上がっていた。「あの一件で自分たちのような人間にも風当たりが強くなった気はしてます。今日だって正直、親子連れからの目線が痛いですよ」(プリキュア好き歴10年だという25歳の男性会社員)また、近くにいた20代男性会社員も言う。「本当にプリキュアが好きなら作品や会社、他のファンに迷惑をかけちゃダメですよね。女児と保護者だって着ぐるみの件がきっかけでプリキュアやそのファンに嫌悪感を抱いて離れてしまうかもしれないし、成人男性たちだって自分も批判されかねないとプリキュアから離れていくかもしれない。そうすると作品や会社にも損失を与えてしまいますから」
問題の男性のSNSプロフィール。現在はアカウント名を変え、非公開となっている
男性が何度も足を運んでいたとみられる国営ひたち海浜公園も、8月9日に公式サイトを更新。「イベント・コスプレ・撮影会における撮影等のルールを追加しました」と新たにルールを設け「コスプレ衣装を着用した撮影は、個人やグループで楽しむ行為であるため、他の一般のお客様へのお声かけや接触はご遠慮ください」と表明している。今後、このような問題行動をする者が現れないことを願うばかりだ。※「集英社オンライン」では、今回の事件をはじめとした迷惑行為、トラブルを取材をしており、情報を募集しています。下記のメールアドレスかX(Twitter)まで情報をお寄せ下さい。メールアドレス:[email protected]X(Twitter)@shuon_news取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班