終戦78年、戦争の記憶風化させぬ 千葉県内参列者最年少35歳・小川さん(船橋市)遺族代表で献花 全国戦没者追悼式

終戦から78年を迎えた15日、政府主催の全国戦没者追悼式が東京都千代田区の日本武道館で開かれ、先の大戦で亡くなった約310万人を悼んだ。県内からは戦没者遺族49人が参列。県内参列者で最年少の小川正浩さん(35)=船橋市=は、県の遺族代表として花を手向けた。戦争体験者が少なくなる中で「戦争の記憶の風化を食い止めたい」と小川さん。若者の決意に、県内の遺族会で活動してきた最年長の佐藤栄吉さん(89)=鎌ケ谷市=は「後を継いで」と希望を見いだした。
小川さんらによると、大伯父の栄さん(享年21歳)=船橋市出身=は、陸軍航空学校で訓練を受け、サイパン島の爆撃などに出撃。その後、米軍の飛行場に強行着陸して飛行場や航空機を破壊する特攻隊「義烈空挺隊」に加わり、終戦間際の1945年6月に沖縄で戦死したという。
自宅の仏間に大伯父の写真が飾られていることは知っていたが、小川さんは深く戦死について考えたり、戦争や平和を意識したりしたことはなかったと打ち明ける。今回は県遺族会に誘われて初めて追悼式に足を運んだ。猛暑にもめげず参列する高齢遺族の姿に接し「(若い世代として)とても重い責任を感じた。風化を食い止めるため、できることに取り組みたい」との気持ちを強めた。
一方、佐藤さんの兄、竹松さんはちょうど78年前の15日、中国で亡くなった。佐藤さんは「戦争が1日でも早く終わっていれば」と悔やむ。靖国神社にお参りして竹松さんを弔ってきた父や母の思いを引き継ぎ、遺族会に入って兄の慰霊を続けるとともに、平和を願い続けてきた。
県遺族会によると、2021年度の県内の遺族会会員数は約1万8千人で3年前に比べ約15%も減少。残された妻や子たちも高齢化している。
佐藤さんは、35歳の小川さんの参列に「若い人に参加してもらえると安心できる。後を継いでほしい」と、不戦のため戦争の記憶の伝承に向け期待を高めた。