驚愕の「三角翼」機に変貌予定の旅客機、“魔改造実施地”へ到着 どう変わるのか? ボーイング

元マクドネル・ダグラス機って胸アツじゃないですか?
アメリカの航空機メーカー、ボーイングが2023年8月17日、NASA(アメリカ航空宇宙局)と開発を進めている、実証機遷音速トラス ブレース翼機(Transonic Truss-Braced Wing)「X-66A」のベース機となる旅客機「MD-90」が、改造作業を行う工場に到着したと発表しました。これからこの機はおもに翼の部分などを中心に、大きな改造を受ける予定です。
驚愕の「三角翼」機に変貌予定の旅客機、“魔改造実施地”へ到着…の画像はこちら >>改修地へ到着したMD-90。今後「X-66A」へと生まれ変わる予定だ(画像:ボーイング)。
この機の最大の特徴は「トラス ブレース翼」と称される、非常にユニークな翼型です。主翼は、胴体の大きさのわりに非常に長い一方、極めて薄くなっています。主翼の下にはそれを支えるべく、胴体下部から主翼中盤にかけ、斜めの支柱のようにつなぐ翼が取り付けられます。「トラス(三角)」の名前は、この翼型が機体前方・後方から見ると、三角形に見えるためです。
NASAによると、この翼型にすることで空気抵抗を限りなく減らし、従来よりはるかに燃料効率の良い航空機の開発が期待できるとのこと。2者が主導する「遷音速トラス ブレース翼機」のデモ機では、現在実用化されている単通路(通路が1本)航空機と比較し、燃料消費と二酸化炭素排出量を最大30%削減することを目標として定めています。
ボーイングによると、「遷音速トラス ブレース翼機」は、2050年までに二酸化炭素排出量実質ゼロを達成するという、民間航空業界が設定した目標に沿って構想されたものとのことです。
今回工場に到着したMD-90は、今後胴体の短縮や、翼とエンジンの交換などを行い、実証機へと生まれ変わる予定です。ボーイングによると、改造は間もなく開始され、地上・飛行試験は2028年に開始する計画とのことです。