ロシアの軍事侵攻を受け続けるウクライナに思いをはせ、支援を呼びかけるコンサートが17日、鎌ケ谷市の「きらり鎌ケ谷市民会館」ホールで開かれた。ウクライナ出身で日本を拠点に活動する伝統楽器「バンドゥーラ」奏者のカテリーナさんが祖国への思いを込めて歌を響かせた。同国から避難し鎌ケ谷で暮らす市非常勤職員オルガ・ナセドキナさん(33)も登壇して「(住む場所に)鎌ケ谷を選んで良かった」と感謝の意を伝えた。
カテリーナさんは2006年から演奏拠点を日本に移して活動。昨年2月のロシアの侵攻開始後は、首都キーウから避難した母を日本で迎える一方、県内はじめ各地で支援コンサートを開いている。現地には姉2人や親類が残る。
カテリーナさんは観客に「心を込めて歌を届けたい」と流ちょうな日本語で語りかけ、祖国への深い愛情を歌う同国の曲「母への道」や「ウクライナ」、ジョン・レノンの「イマジン」などを歌った。
ナセドキナさんは同国ドネツク州出身。ロシア軍の攻撃でキーウから脱出、昨年10月に幼い息子2人と鎌ケ谷に避難した。両親は現地で暮らしている。
芝田裕美市長を交えた対談もあり、カテリーナさんは「祖国のことを考えない日はない。戦地に出て戦う親類もいる。毎日のように人が殺されている」と悲しみを吐露。ナセドキナさんは祖国の受けた被害への悲しみと勝利への強い思いが入り交じり「心穏やかでいられない」と語った。
コンサートは市が共催する子育て支援イベントの一環で開催。対談では、カテリーナさんの中学2年の息子の体験や「鎌ケ谷の児童センターのような施設をウクライナに造りたい」とのナセドキナさんの話も紹介された。
コンサート後に取材に応じたカテリーナさんは「ウクライナが勝っても、ロシアにされたことを一生許すことはないし、忘れることもできないでしょう」と語った。