連日のように35度超えが続く日本の夏。しかし海上自衛隊の艦艇などは赤道直下で活動することもしばしば。そこで過去、インド洋に派遣された経験を持つ隊員に、どう暑さ対策していたのか振り返ってもらったら、驚愕の回答でした。
今年も厳しい夏がやってきました。毎日のように最高記録を更新する気温と、それに伴う熱中症のニュース。こうも暑い日が続くと、夏の開放感とは別に暑さでうんざりすることもしばしばです。
こんなとき、遮るものがない海の上で働く海上自衛官はどのようにして暑さをやり過ごしているのでしょうか。そこに酷暑を乗りきるヒントがあると思い、私は夫で海上自衛官のやこさんに暑さを乗り切る工夫を聞いてみました。
驚愕の酷暑!? インド洋派遣の海上自衛官 どう暑さ乗り切るか…の画像はこちら >>日差しが強い中、護衛艦のヘリ甲板で作業する海上自衛官(画像:海上自衛隊)。
やこさんは2000年初頭、海上自衛隊が当時行っていた「インド洋における補給支援活動」の一環で、艦艇乗組員として参加していました。日本から遠く離れたインド洋へ、補給艦による給油などの支援を行うために派遣されたのですが、赤道付近という過酷な環境のため、日中はその日差しで高温になった甲板で目玉焼きが作れたほどだそう。
これでは上甲板に出るのが嫌になるほどだったのでは……、と思案していると、やこさんは「楽しんでたよ」と平然と言うではありませんか。
彼いわく、「艦内放送で『艦上体育を許可する』と流れると、Tシャツ短パン姿の隊員や、ダンボールとサンオイルのボトルを持った非番の隊員が上甲板に集まるんだ」とのこと。そして彼らは灼熱の甲板上を走るのだとか。
え、走る…? 一方で、汗をかいたカラダにサンオイルを塗って段ボールを敷いた上甲板に寝転がり日焼けを楽しむ人も。あれ、暑さ対策は?
やこさんの話では、海上自衛官は体力錬成も仕事のうちだし、長い航海におけるストレス発散はスポーツが一番だそう。そして、せっかくなら綺麗に日焼けして制服映えしたい。あわよくば艦内のジムスペース(大きな自衛艦にはスポーツジムのような設備があることも)で身体を仕上げて帰りたいのだそう。赤道上でこれです。驚くほど参考になりません。
もちろん、身体を休めたい隊員もいるので、涼しい艦内で読書などを楽しむ過ごし方もありです。
ちなみに、やこさんのいた艦では個人の運動した記録を張り出しており、もっとも多く運動した人にはちょっとした賞品が用意されているなど、航海中のお楽しみもあったそうです。
焼け付く太陽、響く波の音、こんがり焼けた海上自衛官――海のプロに暑さ対策など聞くべきではありませんでした。
Large 230816 indianocean 02
2022年9月、ソマリア沖アデン湾で活動中の護衛艦「はるさめ」の甲板で焼かれた目玉焼き。傍らにある温度計には摂氏約46度の表示、さらに左上には赤外線カメラには摂氏68度の表示が出ている。どれだけ熱くなるか視覚的に理解できるよう試験的に行われた(画像:海上自衛隊)。
とはいえ、日本の暑さはインド洋と違い湿度も高く、近年は危険な暑さになることが多いため、最近では暑さ指数(WBGT)を参考に、暑すぎる日は運動しないという決まりが海上自衛隊にもできたようです。
また、外に出る際はこまめな塩分と水分補給が隊員間で心がけられているのだとか。やはりこれに尽きるのですね。やこさんは基地内を走ることが多いのですが、さすがに今年の夏は運動を控える日もしばしばある模様。妻としては、ちょっとホッとしています。