資生堂、「たるみ」の実際と自己認識の間に8.1歳のギャップがあることを解明 – 原因は顔を見る角度?

資生堂は8月21日、顔の見た目年齢に大きな影響を与える「たるみ」に関して、自己認識と実際の状態の間にギャップがあることを解明したと発表した。

従来、たるみに関する自己認識を調査するためには、主にWeb等を利用したアンケートによる研究手法が用いられてきたが、たるみの程度を判定する基準のあいまいさや、回答者本人の意識・関心のばらつきにより、たるみの自己認識を正確に把握することが困難だった。この課題に対し、資生堂が開発し、学術的にも認められているたるみの判定基準写真を用いて、自身の写真を見ずに判定基準の写真を見て判定した自分のたるみ度合いをたるみの「自己認識」、別途撮影された自身の写真と判定基準の写真を同時に見て判定した自分のたるみ度合いをたるみの「実際の状態」とし、その「ギャップ」を調べた。

この方法を使いて、30~40代の日本人女性36名を対象とし、たるみが顕著に起きる頬、目、フェースラインに関して、自己認識と実際の状態の測定を行ったところ、たるみの自己認識は、3部位とも本人の自己認識の方が、実際の状態よりも有意に低く、たるみが少ない状態と認識していることが明らかになったという。また、この差を、たるみ度合いと年齢との関係を表す数式にあてはめ年齢に換算すると、頬部では8.1歳の差となった。この結果から、自身のたるみの状態は正確に把握されていないことが判明した。

次に、このたるみ認識のギャップが生まれる原因を検討した。様々な角度から対象者の顔の写真を撮影して比較したところ、正面から撮影した顔では、たるみを検出することは困難で、斜め方向から撮影した顔では、たるみが明確に認識できることが明らかになった。これは、斜めから見た場合には、立体的な顔の形状の把握が容易なためと考えられます。日常生活の中では、鏡で自分の顔を正面から見る機会は多いものの、斜め方向から見ることは少なく、たるみの認識が困難な正面の顔を基に、自身のたるみ程度を認識していると考えられるという。

さらに、この自分のたるみを正確に認識することが、本人にどのような影響があるのかを検討した。斜めからの写真を見る前後で、たるみ改善への意欲を段階評価法で比較したところ、写真を見た後ではたるみ改善意欲が高くなった。この結果から、たるみの認識のギャップにより、本人が適切と思えるたるみケアが実施できていない可能性が示された。

同社はこの研究成果をもとに、本人の状態に合ったたるみケアと、それを適切なタイミングでサポートするソリューションの開発を進めていくという。