風評不安拭えぬまま 自力ではどうにも… 影響読めず「対策徹底を」 千葉県内水産関係者 処理水24日海洋放出

東京電力福島第1原発の処理水海洋放出が、24日から始まることになった。政府の決定を受け、銚子市内の水産業団体のメンバーは風評被害対策の徹底を求めた。一方、海外では千葉県など10都県の水産物を輸入禁止とする動きが出ており、海外向けの商品を扱う会社の関係者は「自分たちではどうにもならない」と嘆き「何の影響もないのが一番」と願った。
銚子漁港の買受人組織5団体で構成する「銚子水産流通業組合連合会」は5月、経済産業省や東電と意見交換会を開き、福島第1原発で現地視察も行った。
宮内隆会長(71)は処理水放出に一定の理解を示した上で「国は安心安全なものとして(処理水を)流すのだから、きちんと情報発信をしてほしい」と話し「風評被害が起きないようにしていかなければならない」と訴えた。島田政典専務理事(63)は「(魚を捕獲する)漁業者だけでなく、その後の流通を支える水産業界全体の対策や、魚の消費を促すような具体的な経済対策が必要」と求めた。
銚子漁港で水揚げされた魚を扱っている会社の男性も「放出は仕方がないこと。国の方で風評などをいかに抑えるかだ」と指摘。男性の会社では、海外向け商品にも応じている。海外での輸入禁止の動きについては「政治的なもので自分たちのレベルではどうにもならない」と説明した。
銚子漁港は全国一の水揚げがあり、各地の漁船が集まってくる。市内で鮮魚店を営む40代男性は「これまでいろいろな説明を聞いてきて、個人的には放出は仕方がない」。ただ、全国的に魚の漁獲量が減っていると感じており「それに加えて海洋放出が始まる。風評がどうなるか心配はある」と話した。