TDS「ファンタジースプリングス」来春開業後も「また新しいことに挑戦していく」OLC高野由美子新会長に聞く

東京ディズニーリゾート(TDR)を運営するオリエンタルランド(OLC)は24日、来年春に開業予定の東京ディズニーシー(TDS)8番目の新テーマポート「ファンタジースプリングス」の工事現場を報道陣に公開し、OLCの新会長に就任した高野由美子代表取締役会長(兼)CEO(67)が6月29日の就任以来初めて報道陣の囲み取材に応じた。
「ファンタジースプリングス」は、“魔法の泉が導くディズニーファンタジーの世界”をテーマに、「フローズンキングダム」(ディズニー映画『アナと雪の女王』をテーマとしたエリア)、「ラプンツェルの森」(『塔の上のラプンツェル』エリア)、「ピーターパンのネバーランド」(『ピーター・パン』エリア)と「東京ディズニーシー・ファンタジースプリングスホテル」で構成される(総開発面積約14万平方メートル)。
以下は高野会長の一問一答
―ファンタジースプリングスの完成でTDSの魅力がどう増すか
「ディズニーの神髄ともいえるストーリーテリング、物語の世界を現代風にアレンジし、圧倒的なスケールでよみがえらせました。新しいものづくしなんですね。自然の景観、アトラクション、エリアの世界観の作り方、こだわりにこだわって本物の価値観を作りあげたと思っているので、世界で一つのディズニーシーとファンタジースプリングスを重ね合わせることによって、価値がもう一段、もう二段あがっていくんじゃないかと思います。それによって世界から注目されてたくさんの方々がまたこちらに来て頂ける。そういう効果を期待しています」
―これまでは7つの海がテーマだったが今回は海ではなくて泉というのは?
「ディズニーシーですので、やはり水というのは親和性がとてもありまして、その中で泉をとりあげたということです。最初にここを見つけた人は泉にひかれてここにやってきた。そういうバックグラウンドのストーリーから作りあげたということです。泉にはいろんな妖精が住んでいるんですけど、その妖精が何をもたらすかというと、幸せをもたらすんです。そういう伝説から作りました」
―春開業というのは何月ごろ?
「何月というのは決めていないんですが、第一四半期あたりにオープンできたらいいなというので進めております」
―コロナの影響は
「コロナ禍はいろんな意味での影響と言いますか、考えさせられる時間を私たちに頂いたと思っています。思いもかけないことが次々と降りかかってきて、どう解決していくか、みんなで知恵を絞ってそれを乗り越えてきました。例えば物流が止まってしまったり、世界中に発注している制作品が届かなくなったり、工場が止まってしまったり、このプロジェクト自体を左右するような大変な危機に見舞われました。テーマパークはあらためて重要な事業であると、これを続けていくことがとても重要だなと考えに及びました。ますます積極的にこれからもみなさんに喜びを還元していく、というとおこがましいんですけど、いろんなものを作りあげながら社会に喜びの種をまいていくことにより一層力を入れていきたいなと考えております」
―今回の拡張で大規模な開発は一区切りになると言われているが、土地はもう限界?
「まだ区切りという風には考えておりません。可能性があればまた新しいことにもチャレンジして参りたいと考えています。トゥモローランドの開発も少し広げております。まだいろいろ可能性はあるのかなと考えております」
―第8テーマポート推進本部は?
「オープンしたらもう終わりますね。名前を変えて違うプロジェクトをやるかもしれませんんが。第9? どうですかねぇ。第8が成功したらまた考えられるかもしれませんが…」
―今後の成長投資は?
「次の開発は2027年のスペースマウンテンとトゥモローランドエリアの開発というのが待っております。トゥモローランドのエリアにかかわらず、これからTDR全体でアトラクションやエンターテイメント、開発についてはより一層力を入れていきたい。まだまだやれることはあると思うので、どんどんと挑戦していきたいと思っております」
―会長としてこれからパークをどう運営していくか、どうしていきたいか
「皆さまの期待を考えますと、これからも途切れることなく、アトラクションやエンターテイメント、新たな感動を生み出していくというのが私の使命だと思っています。なおかつ、新しいビジネス、さまざまなビジネスの可能性も探っていきたいと思います。また、従業員の思いというものを結集させて、リゾートとして常に進化、発展させていくのが会社としての大きな使命だと思っています」
◆高野 由美子(たかの・ゆみこ)1956年6月23日、宮崎県生まれ。上智大文学部卒。1980年4月、OLC入社。ミリアルリゾートホテルズ社長、OLC取締役副社長、第8テーマポート推進本部長を経て、6月29日の定時株主総会と取締役会で、加賀見俊夫氏(87)から代表取締役会長(兼)CEOを引き継いだ。会長の交代は18年ぶりで、女性の就任は初めて。