〈群馬・23歳女性死体遺棄〉心中をほのめかし逮捕された男(40)は6年前にも別の恋人と心中未遂し殺人容疑で逮捕された過去…懲役5年の服役を終えたばかりだった

群馬県前橋市のアパートにインドネシア国籍の留学生の女性の遺体を遺棄したとして群馬県警は24日、その部屋の住人で行方がわからなくなっていた男を都内で発見、死体遺棄容疑で逮捕した。男は無職の梶村圭一郎容疑者(40)で、6年前にも和歌山県内のホテルで若い女性の首を絞めて殺害した容疑で逮捕されたことのある人物だった。
梶村容疑者は前橋市文京町のアパート自室に、インドネシア国籍のジョシ・プトゥリ・チャハヤニさん(23)の遺体を放置した疑い。調べに対し「記憶にない」などと容疑を否認しているという。ジョシさんは今年4月に来日、同市石倉町の別のアパートに住み、日本語学校に通うなどしていたが、今月中旬から姿が見えなくなり、8月22日に遺体で見つかった。発見時、すでに死後しばらく経過して腐敗が進んでおり、死因の特定ができなかったという。
遺体で見つかったジョシ・プトゥリ・チャハヤニさん(梶村容疑者のSNSより)
梶村容疑者のFacebookには「宇宙一大切な彼女との東京デート旅行」などのコメントとともにジョシさんとみられる女性とほほを寄せ合う姿などの写真を大量に投稿していた。このうち逮捕直前の23日に投稿された文章は以下のように「心中」をほのめかしていた。<大切な彼女との夏の思い出。本日、自由と幸せになるので最期の投稿です。私とジョシの事を忘れないで下さい。ジョシと永遠の幸せな生活をします。皆さん、本当にありがとう。そして、○さん達最期まで支えてくれてありがとう。偽善者社会福祉法人××××会とも▽田▽▽子と◇◇◇◇◇◇◇◇◇、△△△△△△△を絶対に潰して下さい。お願いします。皆さん、さようなら。>
梶村容疑者のFacebookの書き込み(梶村容疑者アカウントより)
Facebookのプロフィール欄によると、梶村容疑者は愛知県豊川市出身で、都立高校に在学したのち、独身ということになっている。ジョシさんの遺体を放置して逃げ出したアパートの住人はこう証言した。「梶村さんがこのアパートに来たのは7月1日からだね。引っ越して最初来たときはよくはわからなかったけど、なんだか梶村さんを『支援する』って人と一緒に来たんだよ。梶村さんはいつもニコニコ笑っていて、外で会えば向こうから『おはようございます』『こんにちわ』って声をかけてくる人なつっこい感じの人だったよ。だから女房とも『いい人が入居したね』って話していた。私は大家と仲いいこともあって、ちょくちょく話すんだけど、梶村さんのことは『よろしく頼むね』って言われていた。大家も『私も支援の人から頼まれていてね。その支援の関係のところに働きに行ってるよ』と言ってたよ」しかし、表向きの支援の理由と「実態」は異なっていたようだ。住人が続ける。「そのときはなにか疾患があって支援を受けてるんだと信じていたけど、今思えば前科とかそっちのほうだったんだな。梶村さんは2階に住んでいて家周りも洗濯物もこまめに取り込んできれいに使っている印象だったし、仕事も真面目に行っているようだった。それが7月のころだな。『清掃の仕事をしているもんだから暑くてきついですよ』なんて私にも言っていたんだけど、大家に聞くと8月に入ってから『清掃の仕事は嫌だ』と言い出したらしい。彼女ができてサボりたくなったんじゃないかね」
この住人は実際、梶村容疑者が若い女性と仲むつまじく、夕方にアパートに帰ってくる姿を見たことがあった。そして、最後に梶村容疑者を確認したのは今月13日のことだったという。「8月13日の夜だね。その日たまたま停電になって、外の様子を見に行ったうちの女房が梶村さんに『停電なのですがどうすればいいですか?』って尋ねられたらしい。そのときはふだん通りで変わった様子はなかったみたいだけどな。それから2~3日の間は珍しく洗濯物が干しっぱなしになってたからちょっと変だなって思ってたんだ。そのころ大家には、梶村さんから『東京で入院してる』と連絡があったそうだ」しかし、8月17日ごろからアパート中にただならぬ臭気が漂うようになったという。「もう家にいられないレベルの匂いだったよ。動物臭というか、いろいろなもんがごちゃ混ぜになったような、強いて言えば腐ったキムチの匂いというか……。部屋中臭いから、匂いのもとを探したけどわからないくらい臭くて、とりあえず下水からか、って水を大量に流したりもした。だけど、結局数日は匂いがしていたな。そんなこんなで22日に遺体が見つかったっていうんでびっくりしたよ……。いや、ほんとにさ、梶村さんはいつもニコニコしていて、何かやらかしそうな雰囲気とかまったくなかったんだけどな」
遺体が発見された梶村容疑者のアパート(撮影/集英社オンライン)
一方、来日して半年も経たずに若い命を散らすことになったジョシさんが住んでいたアパートの近くの住人男性は、こう語った。「4月にこのアパートに引っ越してきたみたいですね。ちょうど荷物を運び込んでいるときに『私は日本語学校に行ってます』とカタコトで挨拶してくれた子だと思います。姿を見たのはその一度だけなので詳しくはわかりませんが、普通にいい子そうに見えました。アパートには同年代の女性と2人で住んでいて、引っ越しのときは男性も手伝っていたと思います。今回の事件の容疑者とかではなく、外国語で話していたので同じ国の男性が手伝いにきていたんじゃないですか」ジョシさんが梶村容疑者とどこでどのように知り合い、「宇宙一大切な彼女」になった経緯は、まだわからない。わかっているのは、梶村容疑者が6年前にも似たような事件を起こしていたことだ。
梶村容疑者とジョシさん(梶村容疑者のSNSより)
梶村容疑者は2017年10月1日、和歌山県警に殺人容疑で逮捕されている。当時の発表によると、無職の梶村容疑者は同年9月30日午後、和歌山県新宮市のホテルの客室で、名古屋市内在住の女性(当時26歳)の首を絞め殺害した疑い。同日午後8時35分ころ、梶村容疑者から「ホテルの客室内で心中する」などと119番通報があり、救急隊や新宮署員が現場に急遽駆けつけたところ、室内で女性が死亡しているのが見つかった。梶村容疑者は当時、睡眠薬を大量摂取し意識不明の状態で、その後の調べに「自殺を助けるため首に巻き付いていたタオルを絞めた」などと容疑を認め、同意殺人罪で起訴。2019年3月に和歌山地裁で懲役5年(求刑懲役7年)の実刑判決を受けていた。梶村容疑者の心の闇にあったものはなんだったのか。捜査による解明が待たれる。
※「集英社オンライン」では、今回の事件にまつわる情報を募集しています。下記のメールアドレスかX(Twitter)まで情報をお寄せ下さい。メールアドレス:[email protected]X(Twitter)@shuon_news取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班