〈群馬・女子留学生死体遺棄〉刑務所から出所してわずか3カ月で逮捕「女子高生をたくさん見られるので電車通勤がいい」と語っていた梶村容疑者は自立準備ホームでもトラブル…職員は「監視の目が行き届いてなかった」

6年前の「心中未遂」で生き残って同意殺人罪で服役した男が、出所後に住み始めたばかりのアパートに、インドネシア人女子留学生のジョシ・プトゥリ・チャハヤニさん(23)の死体を放置していた事件。群馬県警が死体遺棄容疑で逮捕した梶村圭一郎容疑者(40)が自分を受け入れた社会復帰支援団体とトラブルを起こしていたことがわかった。一見“好青年風”なところが同団体の代表に気に入られていたが、就労条件などを巡って対立、その後出奔していた。
梶村容疑者は6年前に和歌山県新宮市内で起こした同意殺人事件で5年の実刑判決を受けて京都刑務所に服役、今年5月に満期出所し、群馬県内に本拠を置く社会福祉法人「X」を頼って前橋市に住まいを得た。
梶村容疑者(梶村容疑者のSNSより)
「X」は障害児と健常児の統合保育園をベースに、授産施設やグループホーム、喫茶店など幅広く事業展開をしている社会福祉法人だ。女性A氏が理事に名を連ね、事実上グループのリーダーとして差配している。「X」は2014年には前橋市内に社会復帰支援共同生活施設(女性専用)の自立準備ホーム「Y」を開所した。「Y」は法務省の保護観察所登録施設であり、精神病院や刑務所、少年院などを退所した「女性」が安心して生活できることを目指した居住空間で、再び犯罪を繰り返さない強さを養い、自立を促すのが目的という。「X」の関係者が証言する。「経緯は不明ですが、A氏と京都刑務所に服役していた梶村が昨年から文通するようになり、面会にまで行って、梶村を女性専用施設である『Y』で受け入れると言い出したのです。当然『X』のなかでも『受け入れる体制がない』『受け入れるべきじゃない』と反対意見が頻出したものの、A氏は『彼は頼れる身寄りがないから』と梶村の受け入れを強引に決めてしまいました」
遺体で見つかったジョシ・プトゥリ・チャハヤニさん(梶村容疑者のSNSより)
以前は管理者が常駐していた「Y」も、現在はほぼ出入り自由の状態で、いつの間にか入居者の多くが男性になっていたという。関係者が続ける。「これまでは万引きなど、比較的軽微な犯罪をやめられない入居者が多かったのですが、ここ最近は過去に大きな罪を犯した者もはいってきました。それなのに、夜に出歩こうが、何をしようが誰も見ていない状況なんです。5月に出所してきたばかりの梶村も然りです。しかも、実際に面倒を見るのは『X』の職員たちです。具体的に言うと障害者の就労支援施設で働く従業員が『Y』に出向き、居住者の食事の用意をしたりしていました。従業員の中には女性もおり、『怖い』と言って嫌がっていました」
梶村容疑者の前歴についても従業員たちは懸念していたが、A氏は取り合わなかったという。「『X』の幹部の一人は『梶村は京都刑務所に女性を殺して入っていましたし、過去に女性に対し、わいせつ行為をしたという記録もあります。女性スタッフは隙を見せないように気をつけてください』と注意喚起をしていました。それでもやっぱり関わるのが嫌な人は嫌ですよね。専門のスタッフを雇うか、もしくはA氏本人が自分でやればいいことなのに…」(前同)梶村容疑者は、ハキハキ喋るし挨拶もきちんとする「好青年」に見えたが、すぐに「Y」の入居者とウマが合わずに「ここは嫌だ」と言い出したという。そして今年の7月、A氏の知り合いの物件に引っ越した。それが、ジョシさんの遺体を放置して逃げ出したアパートだ。関係者が続ける。
遺体が発見された梶村容疑者のアパート(撮影/集英社オンライン)
「アパートに引っ越してからは、監視の目が全く行き届いてなかったと思いますよ。梶村は『Y』にいたころも、『ジョギングが趣味』と公言し、仕事以外の時間はほとんど徒歩か自転車で街を徘徊していました。あまりに外に出ている時間が長いので、『女性を物色しているのではないだろうか?』と職員の間で話題になったこともあります」梶村容疑者は出所後間もなく生活保護の支給を受けられるようになり、それと並行して「X」の関連施設にて「就労支援」の仕事を手伝いにきていたという。「X」の別の関係者はこう語る。「就労支援施設で働くには市に受給者証の申請が必須なのですが、梶村は申請してもすぐにもらえずに5月、6月、7月とボランティアでタダ働きしていました。仕事内容は前橋市の委託の仕事で、内容は段ボールとか衣類の回収でした。受給者証が出れば月3万円~5万円くらいは貰えていたはずです。でも、梶村は無給とは説明を受けていなかったそうで、8月からは受給者証が出るから賃金を払えると伝えられたものの、8月頭くらいに『やってられるか。他で稼ぐ』と怒って出て行きました」
前橋東警察署(撮影/集英社オンライン)
また、この関係者によると、梶村容疑者は「若い女性」好きを公言していたという。「梶村は『女子高生をたくさん見られるので電車通勤がいいです。かわいい子がいます』とか、仕事の途中で『あの女子高生かわいい』などともよく言っていました。インドネシア人の23歳の彼女についても『どうやったらそんな若いのと知り合えるんだよ』とたずねても愛想笑いしているだけでしたが、彼は40歳にしては若く見えたからモテたんですかね。SNSにも上げてるように、花火に行って彼女と何を食べてきたとか、そんなことも話してました。前の事件のことは、気分を害して施設からいなくなられても困るので、聞いたことはないです。A氏は最初は梶村に甘かったと思いますよ。メシに連れて行ったり、年内に運転免許も取らせようとしてましたから」
しかし、梶村容疑者は8月7日の出勤を最後に、「俺はもっと稼げる」と言い残し「X」を退所し、事件を起こした。一連の経緯を質そうとA氏を直撃し、なぜ梶村容疑者を受け入れたのかを聞いた。「ははは。(梶村は)いたって好青年なの。二枚目だし頭もいいし。で、いろいろあるんだけどそこらへんはね。(受領証をもらえた後は)就労移行支援事業所の利用者になる予定だったんですけど。まあいろいろあって本人が辞めるって。そのころには彼女ができて、お金が必要になったんじゃないんですか」
梶村容疑者のFacebookでの書き込み(梶村容疑者アカウントより)
さらに「Y」に入所させたことについては、こう答えた。「ウチはホームページには女性(女性専用施設)って書いてあるけど関係ない。男性も女性も両方入れます。自立準備ホームでは衣食住保証されますが、梶村くんはその上で生活保護までもらうというのが嫌で、仕事をして稼ぎたかったんだろうね。自立準備ホームは法務省管轄なので生活保護とはまた別の話なんだけどね。彼には『5年間くらいは娑婆(しゃば)にいながらも刑期を満了するみたいな気持ちになってちょうだいね』ってことを私はていねいに伝えてきたんだけど…」再犯防止のための自立支援策は、梶村容疑者にとって受け入れにくかったのかもしれないが、そんなことは何の言い訳にもならない。今回の事件の被害者は、インドネシアから来日した23歳の女性、ジョシ・プトリ・チャハヤニさんただひとりである。ジョシさんは何故命を落とし、死因がわからなくなる程、梶村容疑者の部屋で放置されたのか、事件の全容解明が待たれる。※「集英社オンライン」では、今回の事件にまつわる情報を募集しています。下記のメールアドレスかX(Twitter)まで情報をお寄せ下さい。メールアドレス:[email protected]X(Twitter)@shuon_news取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班