日豪共同訓練「武士道ガーディアン」開幕! 豪F-35が小松基地へ到着 空自は豪州へ いよいよ近づく両国

小松基地にオーストラリア空軍のF-35A戦闘機が初めて飛来しました。一方で、航空自衛隊もF-35をオーストラリアに派遣しています。これは相互運用性の構築に重点が置かれるからで、同じステルス戦闘機を使っているのがポイントのようです。
オーストラリア空軍の最新鋭ステルス戦闘機F-35A「ライトニングII」が、2023年8月30日午後に石川県の航空自衛隊小松基地へ着陸しました。この機体はオーストラリア北部のノーザンテリトリー(北部準州)にあるティンダル空軍基地から飛来しましたが、同空軍のF-35が日本に来るのは初めてのことです。
到着したF-35は全部で3機、それに続いて同空軍のKC-30A MRTT(空中給油・輸送機)も小松基地に着陸しています。おそらくはこのKC-30Aから空中給油を受けながら日本にやってきたと思われます。
日豪共同訓練「武士道ガーディアン」開幕! 豪F-35が小松基…の画像はこちら >>小松基地に到着したオーストラリア空軍のF-35A戦闘機。第75飛行隊の隊長マーチン・パーカー中佐が機体から降りている(布留川 司撮影)。
オーストラリアからF-35が来日した理由は、30日から9月15日まで小松基地で行われる日豪共同訓練に参加するためです。この訓練は「武士道ガーディアン23」と呼ばれるもので、航空自衛隊の資料によれば、オーストラリア空軍からは全部で6機のF-35Aが参加するそう。そのため、残りの3機も今後、小松基地に飛来する模様です。
オーストラリア空軍のF-35はティンダル空軍基地に所在する第75飛行隊とのこと。その起源は第2次世界大戦までさかのぼる歴史ある飛行隊で、部隊シンボルは鳥類のカササギを用いています。
着陸した先頭機は、同飛行隊の隊長であるマーチン・パーカー中佐が自ら操縦していました。ティンダル空軍基地には、今月26日に航空自衛隊 第301飛行隊のF-35が「F-35米豪展開訓練」で展開しており、パーカー中佐はその出迎えを自ら行っています。そして数日経たずして、今度は自身がF-35に乗って6000km以上も離れた日本へやってきた形で、これは現在の戦闘機の能力の高さと、それを運用する空軍のグローバルな活動を印象付けるできごとではないかと筆者(布留川 司:ルポライター・カメラマン)は捉えました。
着陸後に小松基地エプロンで行われた出迎えセレモニーで、パーカー中佐も「昨日まで私はオーストラリア北部におり、そして(第301飛行隊長の)岡本2佐や、第301飛行隊の隊員たちとともにいました」と、自身の移動を振り返りました。
「これまでも、ガマガエルが部隊章の航空自衛隊第301飛行隊と、カササギがシンボルであるオーストラリア空軍第75飛行隊が一緒に歴史を紡いできており、今日、ここ小松において、またいくつかの歴史が形作られることになるでしょう。皆様の歓迎の声が暖かく、感動しました」(パーカー中佐)
こう話し、今回の両国のF-35の行き来を、お互いの部隊のエンブレムに掛けて象徴的なものだと説明していました。
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F-35戦闘機の前で記念撮影を行う日豪の関係者。左からピーター・ロバーツ駐日オーストラリア大使館首席公使、小松基地所在の第6航空団飛行群司令の三宅淳1等空佐、メラニー・バズウェル豪空軍訓練指揮官、小野田紀美防衛大臣政務官(布留川 司撮影)。
「武士道ガーディアン23」には、航空自衛隊側からF-35Aが6機、F-15「イーグル」戦闘機が10機、F-2戦闘機が4機、KC-767空中給油・輸送機1機が参加します。さらにアグレッサー(仮想敵)部隊として知られる航空戦術教導団のF-15も参加するそうです。
参加機数は非常に多いですが、もっとも注目すべきは日本とオーストラリアのF-35が一緒に訓練を行うことでしょう。出迎えセレモニー後の記者会見でも、小野田防衛大臣政務官は次のように話しました。
「今回の『武士道ガーディアン』において、豪州空軍のF-35A戦闘機と、当方航空自衛隊のF-35A戦闘機などが各種戦術訓練を実施します。武士道ガーディアンの実施は2019年以来2回目ですが、今回、日豪両国が初めてF-35Aを運用いたします。日豪間で最新鋭戦闘機も用いた共同訓練を行うことで、より強化された相互運用性の構築に資することになります」
こういったことからも、今回の共同訓練では、日本とオーストラリアのF-35が同時参加する点が重要部分だということは間違いないようです。
※一部修正しました(8月31日8時50分)。