「家族はロシアの占領地の近く…」 ウクライナから沖縄に避難した4人、祖国への思い語る

[ウクライナ侵攻1年]
ロシアによるウクライナ侵攻から1年になるのを前に、ウクライナから沖縄に逃れてきた避難者たちによる講演会「ウクライナってどんな国?」(主催・NPO法人数学・科学技術推進協会MathMathGood)が11日、那覇市の県立図書館で開かれた。登壇した4人は勉強中の日本語を交えながら祖国の文化や沖縄での避難生活について語り、「ウクライナに残る家族が心配。ウクライナ国民は平和を願っている」と案じた。(社会部・當銘悠)
登壇したのはアリナ・グラチョワさん(27)、カテリーナ・シェフチェンコさん(18)、ヤーナ・シュマクさん(22)、ディアナ・メドヴィドワさん(30)。
メドヴィドワさんは、昨年4月に沖縄に避難した。日本語と英語を勉強しながら仕事に励んでいる。「沖縄の人たちはとても親切でフレンドリー。多くの人たちに助けてもらっている」と感謝した。
ロシアと国境を接する東部ルガンスク州出身。家族は現地に残っており「ウクライナのニュースを見ると心配。平和になってほしい」と願った。
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西部出身のグラチョワさんはキーウで弁護士として働いていたが侵攻後に仕事を失い、昨年8月に沖縄に逃れた。多くの自国民が苦しんでいることに「許すことができない。戦争は早く終わって」と訴え、「ウクライナとウクライナ人には強い志と自由への愛がある。多くの人にウクライナのことを知ってほしい」と力を込めた。
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講演を聞いた中学3年の嘉手苅仁路さん(15)は「ウクライナの人たちが自分の国を本当に愛していることが分かった。もっと関心を持っていきたい」と話した。