闇バイト連続強盗の黒幕は「ルフィ」名乗る…犯行手口は特殊詐欺グループと一緒の構図

広域強盗グループは実行役を次々と入れ替えながら、国内各地で犯行を繰り返していたようだ。
東京都中野区の住宅で昨年12月、男性(49)が殴られ、現金約3000万円が奪われた事件。警視庁は24日、いずれも職業不詳の山田雅也(22)と長谷川将司(26)両容疑者を強盗傷害容疑で逮捕。事件直後に逃げ遅れ、緊急逮捕された和野正弘被告(34)は調べに対し、「闇バイトに応募した。強盗をするために集まったメンバーで互いに面識はなかった」と供述している。
これで犯行グループ7人のうち4人が逮捕されたが、21日に逮捕された永田陸人容疑者(21)は、19日に東京都狛江市の住宅で大塩衣与さん(90)が殺害された事件に関与していたことが判明。現場付近の防犯カメラには、永田容疑者が事件に使われたレンタカーを運転し、逃走する姿が写っていた。永田容疑者は運転自体は認めたものの、車内にあったスマホは「オレのものじゃない」と供述。スマホには「狛江市」の地名や時間、「欠員が出たら連絡します」といった事件に絡む文言が残されていた。
昨年11月以降、関東や中国地方でグループによく似た手口の事件が、少なくとも20件発生。警視庁は永田容疑者以外のメンバーも狛江の事件や、昨年末に山口県岩国市と広島市で起きた強盗事件に関わっていたとみている。
岩国では昨年11月、会社役員の男性(61)宅に5人組が侵入。実行役がカッターナイフを取り出して「カネを出せ」と家族を脅したが、男性が自室から日本刀を持ち出し抵抗すると、犯行グループはあわてて逃走。現場で取り押さえられた実行役の会社員(26)は「日当100万円の闇バイトの求人を見て応募した」と供述。犯行グループから事前に〈この家には金庫が2つあり、合計で1億円ある。人がいたら縛っちゃおう〉と具体的な説明を受けていたという。

「被害者は多額の現金を自宅に貯め込んでいたり、狛江では90歳の高齢女性が1人きりになるところを狙われたりと、資産状況や家族構成が事前に犯行グループに流れていた可能性がある。指示役が複数の実行部隊に犯行を命じる特殊詐欺から、現金目当ての強盗にシフトしつつあるとも考えられます。海外から指示したり、一定時間が経過するとメッセージが消去されるテレグラムを使用しているため、実行役をいくら逮捕したところで黒幕にたどり着くのは難しい。特殊詐欺グループとまったく一緒の構図です。キリがありません」(捜査事情通)
■指示役は「ルフィ」と名乗る
そして逮捕された複数の容疑者がSNSを通じ、「ルフィ」と名乗る人物から指示を受けていたことが分かった。強盗グループは「闇バイト」に応募してきた人物に、一定の時間が経過するとメッセージが消える通信アプリ「テレグラム」などを通じて強盗に関する具体的な手順などを指示。この際「ルフィ」と名乗っていたという。
ルフィが指示したとみられるのは、狛江と中野の事件のほか、昨年5月、京都市で高級腕時計が奪われた事件、10月に東京・稲城市で発生した強盗事件、先月、広島市で起きた強盗殺人未遂事件など。
一方、狛江の事件で、大塩さん宅1階に設置された2台の防犯カメラのモニターが破壊されていたことも判明。データをすぐに確認できないようにするためだったとみられる。
物騒な世の中になったものだ。