いま東京・新橋のアンテナショップ「とっとり・おかやま新橋館」では、旬を迎えた岡山県産ぶどうを販売している。同館の2階では、ピオーネなど代表的な品種を使ったスイーツが楽しめるフェアも開催中だ。9月12日に開催されたメディア発表会にて、岡山県産ぶどうの魅力やぶどうのおいしい食べ方について聞いてきた。
○岡山ではピオーネが主役
古くから、ぶどうの生産が盛んな岡山県。特に県北部の地域は昼と夜の寒暖差を生かした露地栽培に適しており、おいしいぶどうが育つ気候風土に恵まれている。また県南部は平野で温暖な気候なため、時期をずらした栽培が可能。岡山県ではこうした気候の違いも生かして、長期に渡り様々なぶどうを全国の消費者に届けるリレー出荷を行っている。
さてJR新橋駅から徒歩1分の好立地、とっとり・おかやま新橋館には週に数回、そんな新鮮な岡山県産ぶどうが届けられている。この時期、旬の味覚を求めて立ち寄るビジネスパーソンの姿も増えているという。
気になるのは価格。品種、時期、大きさによっても異なるが、筆者が訪れた9月12日はニューピオーネ(特大)が1房3,500円~、シャインマスカット晴王(特大)が1房6,000円~、瀬戸ジャイアンツ(カップ300g)が1,180円などで販売されていた。
また同館2階にあるカフェ&レストラン「ももてなし家」では、9月14日から10月22日まで岡山県産ぶどうフェアを開催。ピオーネ、シャインマスカット、マスカットジパング、マスカット・オブ・アレキサンドリア、瀬戸ジャイアンツの各品種を使ったスイーツを用意する。
岡山県産ぶどうのタルトは999円、岡山県産ぶどうのパフェは1,999円、ぶどう(そのまま)は1,599円。週ごとに使う品種を変えて提供していく。
○ぶどうには意外な楽しみ方も!!
ところで、ぶどうはどのように食べればイチバンおいしく頂けるのだろうか―――。保存方法は?食べごろは?見分け方は?皮は剥かない方が良いの?そんな素朴な疑問に、おかやま応援TOKYO隊としても活動している食育講師の笹井純子氏が回答した。
笹井氏によれば、大粒ぶどうの”種なし化”に初めて成功したのは岡山県だった。昭和50年に代表的な品種であるピオーネを種なし化してニューピオーネとして売り出したのがはじまりで、その後、全国に広がっていったという。種なしぶどうの弱点は脱粒しやすいこと。しかし岡山県産ぶどうでは粒を大きく育てており、360度どこから見ても隙間がない房に成長させることで粒を外れにくくしている。
ぶどうの栽培面積を見ると、全国では「巨峰」(25.3%)、「シャインマスカット」(18.1%)、「ピオーネ」(15.2%)、「デラウェア」(14.4%)の順になっているが、岡山県では「ピオーネ」のシェアが64.5%と圧倒的に多い。以下、「シャインマスカット」(17.1%)、「オーロラブラック」(7%)、「瀬戸ジャイアンツ」(3.2%)、「アレキサンドリア」(3.2%)と続いている。
ぶどうの選び方、保存方法、食べ方についても詳しい紹介があった。まず、ぶどうは追熟しない果物。このため、買ったときがイチバンの食べごろとなる。県職員などは「できれば3~4日で食べて欲しい」などと言っているらしい。
そして新鮮なぶどうは、果軸(茎のところ)が綺麗な緑色で、粒の根本の軸も枯れていないことに注目したい(シャインマスカットは鮮度が良くても果軸が木化することもある)。また、ぶどうの粒の表面には果粉(ブルーム)と呼ばれる白い層があり「食べられるの?」と不安に思う人もいるかも知れないが、これは水濡れや乾燥に対して自己防衛のために、果実が自ら出している物質であり、むしろブルームが剥げ落ちていないものが新鮮でオススメだという。
では、ぶどうの保存方法は?「箱から出して房のまま常温保存」は、あまりオススメできないという。最良の方法は、軸を残しながら1粒ずつ切り分け、容器に並べて冷蔵庫の野菜室で保存すること。房ごと保存すると軸に水分が残ってしまい、消耗する可能性があるようだ。または、軸を外しても良いので1粒ずつに分け、密閉袋に入れて冷凍庫で保存する。どちらの場合もボールで簡単に水洗いしたあと、よく水分を拭き取ることをお忘れなく。
そして食べ方としては、常温よりも冷蔵庫で1~2時間ほど冷やしたもの、あるいは食べる直前に氷水で15分ほど冷やしたものを薦める。「ぶどう、さくらんぼ、ライチ、スイカなど果糖が多い果物は、冷やすと甘く感じます。一方で、桃、パイナップル、メロン、マンゴーなどショ糖が多いものは冷やしても感じる甘さは変わりません」(笹井氏)。また、できれば皮ごと食べることで香りも楽しめる、と説明する。皮には香り成分のほか機能性成分(ポリフェノール類など)も含まれており、皮を食べないのはもったいない。
最後に笹井氏のとっておきの食べ方について聞いてみると、冷凍したぶどうを氷代わりにしてスパークリングに入れてみてはいかがでしょう、という意表をついた回答が返ってきた。
「たとえば、アスティ・スプマンテというイタリアのスパークリングワインがあります。マスカットを使った甘口のワインですが、これに冷凍したぶどう(マスカット系が良いでしょう)の粒を入れてみて下さい。ぶどうとワインの香りのマリアージュが楽しめてオシャレですし、飲み終えたら、ぶどうの粒も食べてもらえます」とのこと。
旬のシーズンを迎える岡山のぶどう、おいしい食べ方を覚えて楽しんでみてはいかがだろうか。
とっとり・おかやま 新橋館
東京都港区新橋一丁目11番7号 新橋センタープレイス1・2階
1F ショップ(営業時間 10:00-21:00)
2F ビストロカフェももてなし家(営業時間 11:00-22:00 LO21:00)
近藤謙太郎 こんどうけんたろう 1977年生まれ、早稲田大学卒業。出版社勤務を経て、フリーランスとして独立。通信業界やデジタル業界を中心に活動しており、最近はスポーツ分野やヘルスケア分野にも出没するように。日本各地、遠方の取材も大好き。趣味はカメラ、旅行、楽器の演奏など。動画の撮影と編集も楽しくなってきた。 この著者の記事一覧はこちら