外国ルーツの児童のやる気を引き出す授業とは? 日本語教育の研修会

【中部】「日本語を母語としない児童生徒とともに学べる授業づくり」と題した一般向けの研修会(主催・沖縄県子ども日本語教育研究会)が4日、西原町の琉球大学であった。東京学芸大学教育学部の南浦涼介准教授が講師となり、実生活につながる「リアルでガチな話題」をテーマに意欲を引き出す授業を提案した。北谷町立北玉小学校で外国ルーツの児童を教える上門幹弥担任と儀間光担任も登壇し、社会科の授業例を報告した。(中部報道部・平島夏実)
関連記事合格と聞いて「イェーイでした」 沖縄の11歳が英検準1級 面接は“超緊張” | 沖縄タ・・・ 沖縄県北谷町にある「ホープ インターナショナルアカデミー」6年の當山未来(みく)さん(11)=同町=がこのほど、・・・www.okinawatimes.co.jp 南浦氏は、子どものできない部分に着目した授業は「せめてこれだけは」という発想で漢字ドリルや文法練習を繰り返しがちで、やる気を引き出しにくいと分析した。学問的な学びと社会的に有用な学びを結び付ければ知的好奇心が生まれると話し、「考えがいのあるガチな話題を授業のテーマに」と勧めた。
例に挙げたのは、結婚願望の有無に関する高校生対象の調査結果。うまく言葉が出なくても、グラフを見て「自分はこの意見」と指さしできる。さらに「30代になると結婚願望のない割合が増える理由」を周囲にインタビューしたり「結婚願望をかなえやすい社会とは」を考えたりすることにつながる。

南浦氏は「スポーツの世界では永遠に基礎練を続けるわけではなく、きちんと練習試合を設ける。学校教育でも『練習試合』が必要。拙い日本語でも自分で考える力を育てて」と説いた。公文書とLINE(ライン)の言葉遣いが全く違うように、領域ごとの文体に慣れる工夫も大切だと話した。
上門氏と儀間氏は、外国ルーツの児童が他の児童と一緒に学べる授業を提案した。ポイントの一つは「作業化」。教師が問いかけ児童に答えてもらえば済むやりとりを、例えば、カードを正しい順番に並び替えるグループワークに切り替える。カードを動かしながら「自分はこう思うから」と自然に言葉が促される利点があるという。
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文科省の調査では、日本語の日常会話が難しかったり、日本語の授業についていけなかったりする外国ルーツの児童生徒は2022年、県内41市町村のうち22市町村に在籍している。一方、日本語指導教員が加配されている自治体は9自治体にとどまる。北谷町は県内で唯一、町内どの学校でも日本語指導を受けられる仕組みだという。