「共有したくない」ダイオキシン520倍、沖縄キンザー土壌汚染 隠蔽する方向で議論

【ジョン・ミッチェル特約通信員】米海軍海兵隊公衆衛生センター(NMCPHC)が、浦添市のキャンプ・キンザー(牧港補給地区)での深刻な土壌汚染に関する報告書を2019年に作成したにもかかわらず公表されていない問題で、キンザーを管轄する海兵隊が隠蔽(いんぺい)する方向で議論していたことが米軍内部のメールで明らかになった。メールは、沖縄タイムスが米情報公開法を通じて入手した。
報告書が発刊される3カ月前の7月12日、海兵隊関係者は、報告書が公表されないことを望み「共有したくない」とあからさまに書いた。
関連記事【全文公開】キンザー汚染・米海軍海兵隊公衆衛生センターの報告書 | 沖縄タイムス+プラ・・・ 沖縄タイムスは、浦添市のキャンプ・キンザー(牧港補給地区)の深刻な土壌汚染を明らかにした米海軍海兵隊公衆衛生セン・・・www.okinawatimes.co.jp また、ネット上で公開した場合、「悪名高く敵対的」とレッテルを貼る地元メディアから質問やコメントを求められることに懸念を示した。
6月26日付の別のメールは、報告書を公表するとメディアが関心を持つことは間違いないとの認識を示していた。その上で、NHKや共同通信、沖縄タイムス、琉球新報といった全国・地元メディアからの取材を引き起こすと述べている。
メールを書いた者の氏名や所属部署は伏せられているが、沖縄に本拠を置く海兵隊の報道担当者と環境部門の当局者とのやりとりとみられる。

関連記事土壌汚染隠し 反発広がる 住民「やりたい放題」 米国と二重基準指摘も キャンプ・キンザ・・・ 米軍キャンプ・キンザー(牧港補給地区)の土壌汚染に関する2019年の米海軍海兵隊公衆衛生センターの報告書を巡り、・・・www.okinawatimes.co.jp 報告書を公表していないことは、キンザーに住む米軍人や家族、余暇の利用者、労働者に、メディアなどを通じて、基地の健康リスクについて知らせるよう求める同センターからの勧告を覆すものだ。最終的に、報告書は本紙による情報公開請求によって明らかになった。
報告書によると、戦争中のベトナムから運ばれた化学物質によって、キンザーは汚染された。18年の同センターによる調査によって、一部の地点で米環境保護局(EPA)が定める住宅地域で発がん性の詳細な調査が必要とされる基準値よりダイオキシンが520倍、ヒ素は51倍、PCBも41倍上回った。土壌汚染が子どもや地元の屋外労働者の健康に被害をもたらす恐れがあることを示した。
キンザーは、25年度以降の全面返還が日米間で合意されている。