成田市が市内を走るコミュニティーバスの運行数を来年度から減便する方針であることが、市への取材で分かった。全国的に深刻な状況にある運転手不足が理由。今後、市と運行委託会社で具体的な減便数やダイヤ改正について検討する。市民生活への影響を最小限にするため、人口が少ない地域の路線維持を優先し、民間バスも運行する市街地で減便する方向で議論を進めるという。
同市コミュニティーバスは、利用需要が低く民間バスの路線がない地域を中心に運行。2006年に合併した旧大栄町・下総町など住民が少ない地域から成田駅や総合病院がある市街地への足を確保している。市ホームページによると、7ルートで1日計約80便運行され、千葉交通(成田市)に委託されている。
具体的な減便数は決まっていない。ただ、市役所を通る市街地の区間が5ルートで重複し、民間バスも運行しているため、同区間でのダイヤ改正・減便を軸に検討する。比較的利用者が少ない休日の減便も考える。
市によると、減便の理由は慢性的な運転手不足で、同社から運行維持のためにダイヤ改正が必要だと申し出があった。待遇改善に力を入れているが、早期に大規模な採用が見込めないとの説明も受けたという。
来年4月から働き方改革関連法に基づき、運転手を対象とした時間外労働の規制が始まることも影響しているという。1日の拘束時間が短縮され、連続運転時間の制限も厳しくなる。
市と同社で減便の具体案が固まり次第、市民代表なども交えた地域公共交通会議を開き、合意されれば案が確定する。
同市コミュニティーバスの19年度の利用者は約22万3千人だったが、新型コロナの影響で20~22年度は年18万人以下の水準に減った。本年度は回復傾向にあるが、外出頻度の減少など生活様式の変化によって戻り切ってはいない。
乗車料金は中学生以上200円、小学生100円。幼児や障害者手帳保持者は無料。22年度の運行経費は約1億4600万円で、収入は約2800万円。
市は他にも交通手段確保策として、70歳以上を対象に片道500円で乗り合いするオンデマンド交通も運行している。市タクシー協議会に属する5社に委託しており、現時点でこの運転手は足りているという。