名古屋市長が一転計画認める姿勢に…徳山ダムの『木曽川導水路』とは 市にとっての“3つのメリット”新たに挙げる

名古屋市の河村市長は、2009年に撤退を表明した徳山ダムから導水する事業について、計画を認める方向に転換しました。木曽川導水路についてまとめました。 徳山ダムは2008年、岐阜県の揖斐川の上流に完成しました。この水を愛知や名古屋で使うために計画されたのが、トンネルで木曽川に流す木曽川導水路です。しかし、まだ工事は始まっていません。
すでに完成しているダムの総事業費は3300億円で、名古屋市は利息などを含めると525億円を払う必要があり、さらに毎年2億円ずつ管理費用を払い続けています。 計画がストップしていた導水路は当初の計画では890億円で、名古屋市は121億円を負担するはずでした。
このダムや導水路の計画は、水不足が予想された高度経済成長の時代に進められたもので、ダム完成直後に初当選した河村市長は「水は余っている」として撤退を表明。市としてはダムの建設費500億円は支払ったものの、120億円の導水路は止めて水は使わないという状態が続いていました。 河村市長は「多額の税金をかけて作って徳山ダムを活かす方法がないか悩んだ」として、14日に水の新しい使い道3つを挙げました。
1つは「安心安全なおいしい水」。もともと木曽川の水を使う名古屋市は「おいしい水道」をウリにしてきましたが、揖斐川上流の水を市民が飲めるとしています。 続いて「流域の治水」。徳山ダムの水が使えるようになれば、大雨が予想される時に、木曽川上流のダムを事前に放水するなどの対策が採れるとしています。 最後に挙げたのは「堀川の再生」です。導水路で運ぶきれいな水を、都心の堀川に流し込むことで泳げるくらい綺麗にし、街づくりに活かすとしています。
関係者によると、市役所の事務方は名古屋でも100年に数度起きる大渇水への備えとして導水路は必要と説得を続けてきたものの、市長は撤退は公約だからと頑なでした。今回の方針転換には驚きが広がっているようです。 上下水道局の担当者は「去年、台風による静岡市の断水や明治用水の漏水などを目の当たりにして、必要性を感じ取ったのでは」とも話しています。