農作物などに被害を与える有害鳥獣の対策を強化するため、千葉県は「捕獲協力隊」の募集を始めた。狩猟免許(わな猟)を取得したが、狩猟をしていない“ペーパーハンター”が対象で、県の捕獲事業に同行して知識や技術を身に付けてもらう。ふるさと納税で同対策を支援する支援隊員も募集している。
県自然保護課によると、初心者ハンターと獣害に悩む農家をマッチングする小田急電鉄の「ハンターバンク」を参考にした。県内でもイノシシや特定外来生物のキョンによる被害が深刻化しており、県は協力隊事業を創設し、捕獲の担い手を掘り起こすことにした。
参加隊員は捕獲現場や解体施設を見学するツアーなどに参加した後、君津市内で来年1~2月に1~2回捕獲に同行する。今回の捕獲対象はキョンで、捕獲事業者の指導の下、実践的な技術の習得を目指す。
わな猟免許未取得者を対象にした「疑似体験コース」もあり、オンラインで狩猟を疑似体験できる。いずれも10月20日までに「ちば電子申請サービス」で申し込む。
県外在住の支援隊員には返礼品として捕獲したキョンの肉や革製品などを用意。返礼品は捕獲したキョンの数に応じて変化し、1万円の寄付の場合は最大で肉約200グラムとレザーコースターなどを送る。申し込みは12月31日まで。
熊谷俊人知事は「キョンなどの生態系を乱す特定外来生物は根絶を目指さなければならない。本事業を契機とし、有害鳥獣の問題の解決につなげたい」と力を込めた。
県内のキョンの生息数は2006年は推定約9200頭だったが、20年には5万頭超と急増している。分布も拡大傾向にあり、畑の野菜や住宅の庭の花が食い荒らされる被害が増えている。