韓ドラのお約束 第21回 「聖水洞」がブルックリン、「梨泰院」が六本木なら「江南」は? ロケ地巡りが一層楽しくなる、ソウルの街あるある

若者の街・原宿、演劇とバンドの街・下北沢、カフェの街・清澄白河と、東京の街にそれぞれカラーがあるように、ソウルの街にもエリア別のカラーがあります。今回は、韓ドラで見るソウルの街を紹介してみます。
○「こんな素敵なカフェが実際にソウルにあるなんて!」

まず街の名前がタイトルにもなっている「梨泰院(イテウォン)クラス」。日本版のタイトルが「六本木クラス」ということからも分かるように、外国人が集まる歓楽街として知られています。場所は、南山ソウルタワーがある南山のふもと近く。ソウル駅から10分ほどの距離ですが、なんと梨泰院のすぐ横にある龍山公園は、2018年まで米軍基地だったんです! 「こんな都会の真ん中に!?」と驚きますが、梨泰院に外国人が集まる街になった理由は、まさに基地の存在だったんですね。夜は賑やかな歓楽街ですが、バッグなど革製品のお店も多く、昼間に訪ねてみるとまた違った印象を受ける街でもあります。

コン・ユのブレイク作「コーヒープリンス1号店」で撮影に使われたカフェが実際にあったり、チャン・グンソクがインディーズバンドのボーカル役だった「メリーは外泊中」の舞台だったりと、いつの時代も若者の街、エンタメの街として韓ドラによく登場するのは弘大(ホンデ)。芸術大学として知られる弘益大学を中心としたエリアで、クラブやライブハウスが多く、路上ライブも盛んな学生街です。美術大学に通うハン・ソヒとソン・ガンの恋愛を描いた「わかっていても」でも弘大の街が登場しました。

PSYの「江南(カンナム)スタイル」でもお馴染みの江南は、高級住宅街や百貨店、芸能事務所、整形クリニックなどが集まる富裕層エリアで、東京でいう港区のようなイメージ。イケメン&美女に出会いたければ江南に行くのが一番です。江南というのはソウルの真ん中を流れる漢江(ハンガン)という川の南側という意味でもあり、江南区という地名でもあります。ソウルでは町=洞(ドン)で、「清潭洞(チョンダムドン)アリス」の清潭洞は、玉の輿を夢見るムン・グニョンが憧れる江南区清潭洞という高級住宅街エリアのこと。

江南には名門中学や高校も多く集まっていて、「イルタ・スキャンダル~恋は特訓コースで~」でチョン・ギョンホが演じるスター講師が務める塾がある大峙洞(テチドン)も江南エリア。実際にSKY(第17回参照)を目指す学習塾が集中的にあって、受験の聖地とも呼ばれています。ちなみにドラマの原題は「イルタ・スキャンダル」のみで、“恋は特訓コースで”は邦題。若干、“副題つけちゃいました系(第19回参照)”の香りがしますね。

現在、ソウルの最新スポットといわれているのは聖水洞(ソンスドン)。聖水洞は工場や倉庫をリノベーションしたカフェやショップが点在する街で、ソウルのブルックリンともいわれるおしゃれエリア。「ヴィンチェンツォ」の4話でソン・ジュンギとチャン・ヨビンがアイスアメリカーノ(第5回参照)でちょい揉めしているオシャレカフェは、聖水洞に実際にある「CAFEハラボジ工場」です。緑豊かで開放感があって、素敵なカフェですよ。

韓国ドラマは実際に街に存在するショップや建物でロケをすることも多く、人気ドラマのロケ地めぐりは韓ドラファンの大きな楽しみです。好きなドラマに出てくる素敵なカフェやショップも、探すと見つかるかもしれませんよ。

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加治屋 真美 エンタメ系ライター。初めて観た韓国ドラマは’03年の「夏の香り」。東方神起との出会いをきっかけに本格的に韓国エンタメの沼にハマり、’14年にはTOPIK(韓国語能力試験)6級を取得。好きな韓国ドラマは「賢い医師生活」「大丈夫、愛だ」「二十五、二十一」などなど(選びきれません……)。Twitter@KajiyaMami この著者の記事一覧はこちら