ことし7月、名古屋市緑区の横断歩道で6歳の女の子が連れていた犬が、信号無視をした車にひかれ死にました。警察は22日、現場から逃げた車を運転していた91歳の男性を道路交通法違反の疑いで書類送検しました。
女児連れた愛犬“ひき逃げ”91歳書類送検「そういう人が周りに…の画像はこちら >>
（91歳男性・9月14日）Q事故が起きた時のことを覚えていますか？「覚えていません。他ごとを考えていたから」ことし7月、名古屋市緑区平手北で、6歳の女の子が犬を連れて道路を渡ったところ、突然車が突っ込みました。現場は、信号のある横断歩道で、車が赤信号を無視をしたとみられています。車は飼い犬だけをはねて、そのまま逃げました。
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犬の「朝陽（あさひ）くん」。はねられた1時間後に死にました。逃げた車を探すため、女の子の母親は毎日現場に立ち、情報提供を求めました。（女の子の母親）「何かできないかと思って、看板を持って立つことは私にもできるので、その時間帯を狙って現場に立って、皆さんに知ってもらおうと思いました」
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警察は周辺の防犯カメラの映像などを解析し、運転していたのは名古屋市内に住む91歳の男性と断定。22日、道路交通法違反（事故不申告など）の疑いで書類送検しました。警察によりますと、男性は杖をついていますが認知症などはなく、適切に免許を取得しているということです。
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実はこの男性…犬の「朝陽くん」の四十九日に合わせて、被害にあった家族に直接謝罪していました。（女の子の祖父）「事故のことも覚えていないんですね？」（91歳男性）「覚えてないです。ぼーっとして運転して赤信号突っ切っちゃったみたい」家族に謝罪する一方、男性からは車の自動ブレーキ機能を過信していたような発言が。
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「あの車はトヨタの最新の車で、自動ブレーキが付いているんです。結局ワンちゃん（の背）が低いから、（車が）止まらなかったんだと思います」そして、事故を起こしても、男性はまだ運転したいという思いを口に。（91歳男性）「まだディーラーは『●●さん運転できる』と言っている。だから一生懸命次の（車のこと）を…」（女の子の祖父）「いやいや運転できない。ディーラーは車を売りたいからそう言ってるだけで、無理無理無理」認識の甘さを感じた母親は男性を質します。
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（女の子の母親）「まったく覚えてないですか」（91歳男性）「覚えてないです」（女の子の母親）「朝陽を引き殺して、たまたまギリギリぶつからなくて、あとほんの少しで人殺しになっていて、どう思われてるのかを教えてほしい」（91歳男性）「どういうこと?」（女の子の母親）「高齢で運転する危なさを、90歳を超えても…」母親の声をさえぎるように男性は言いました。（91歳男性）「（まだ運転を）やるつもりだったけれど、もうやれなくなったのでやめます」男性は後日、CBCの取材に応じた男性は「免許を返納した」と話しました。
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全国で高齢ドライバーによる事故はあとをたちません。去年、愛知県で運転免許を返納した人は2万6531人。返納は免許センターや警察署などで受け付けている他、一部の交番や郵送でも対応しています。
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一日平均で10人ほどが免許の返納に訪れるという、名古屋の運転免許試験場では、この日も返納する人がいました。（免許を返納した89歳男性）「軽い事故を起こしてしまって、これが免許を返納しろという知らせかなと思って」（付き添っていた38歳の孫）「これから僕がいろいろなところに乗せていくので、一緒にいろんなところに遊びに行きましょう」
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（免許を返納した78歳女性）「できればまだしばらく乗りたかったが、家族が心配という声を聞いたので（返納）を決めました。ちょっと寂しい。すごく寂しい」
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（愛知県警運転免許課大野英治次長）「高齢者による事故が多発しているが、大きな事故があると自主返納の動きが出てくる」
大切な家族「朝陽くん」を失った母親は男性の書類送検を受けて、「できる限りのことをしてきて、ひとつの区切りを迎えたように感じています。あとは検察の出す答えを待ちたいと思います」と話しました。そして、高齢者の運転についてこんな思いも。
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（女の子の母親）「おじいさんに何かを求めるのは難しいと思う。高齢で運転する方も、親戚でも知り合いでも、そういう人が周りにいる人たちにもう一度考えてもらいたい」