沖縄県の玉城デニー知事は、14日に開会した県議会(赤嶺昇議長)2月定例会で、2023年度の所信を表明し、重点施策として名護市辺野古の新基地建設反対をはじめとする米軍基地問題、県経済の再生、子ども・女性支援に取り組む考えを示した。台湾海峡での武力衝突を念頭に政府が進める南西諸島での防衛力強化に強い懸念を示し、政府に詳細な説明を求めた。また、沖縄への具体的な影響を研究し、日米両政府が取り組むべき平和構築の在り方を県から発信する考えを示した。
知事は、安全保障環境の厳しさは増しているとした上で、政府が決定した安保関連3文書は「国民的議論や地元への説明がなく、地上戦の記憶と相まって県民に大きな不安を生じさせている」と指摘した。
さらに、基地負担軽減は米軍と自衛隊を併せて考えるべきだとし「基地機能の強化で沖縄が攻撃目標になるリスクを高めてはならない」と述べ、政府に外交を通した緊張緩和を求めた。
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辺野古新基地問題では、知事選や県民投票で県民が示してきた反対の思いの実現に向け「ぶれることなく県民の先頭に立つ」と重ねて強調した。
県政の最重要課題には子どもの貧困問題を位置付け、中高生のバス通学費支援を遠距離移動による高額負担者へも広げ、給付型奨学金の拡充や学校給食の無償化に取り組むとした。
経済振興分野では、新型コロナウイルス感染拡大で影響を受けた観光産業の回復と発展が重要だと強調。アジア、欧米からの積極的な誘客に意欲を示した。農林水産業など全産業でデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速化させ、生産性、収益性の向上に力を入れるとした。
また、8月に沖縄アリーナなどで開幕する「FIBAバスケットボールワールドカップ」に向け、スポーツ振興課に新たな組織を設けることを明らかにした。