「台湾有事」を起こさせないために…沖縄・台湾の有識者らシンポで討議

[考 南西「有事」]
沖縄県内外の有識者らでつくる「『台湾有事』を起こさせない・沖縄対話プロジェクト」は12日、沖縄タイムス社と共催で「沖縄・台湾対話シンポジウム」を那覇市のタイムスホールで開いた。台湾の政治、軍事の研究者や県内の有識者ら=写真=が台湾海峡での軍事衝突の可能性を討議し、対話の重要性を強調した。台湾側からは、中国による情報戦激化への懸念や対話の難しさのほか、対中関係を重視する日本側は武力衝突時にも参戦できないとの見方などが示された。(17日付本紙で詳報)
関連記事「台湾有事の可能性は高い」に「えー」とどよめき 参加者、戦前と似ていると危機感 | 沖・・・[考 南西「有事」] 「沖縄・台湾対話シンポジウム」の会場になったタイムスホールは12日、満席に近い約330人で埋・・・www.okinawatimes.co.jp 国際政治学者で台湾・輔仁大学の何思慎(カシシン)教授は、台湾の世論調査で戦争が起きた場合、米軍の参戦よりも日本が派兵するとの考えが多い結果に言及した。
その上で「実際に台湾海峡に日本が介入することは困難。日米が台湾のために中国との衝突をいとわないとの想像は台湾海峡の平和を生み出すチャンスを逸する」と冷静な分析が必要だと指摘。日本、沖縄、台湾の最大の義務は東アジアの平和維持だと強調した。
台湾国防部傘下のシンクタンク「国防安全研究院」の林彦宏(リンゲンコウ)准研究員は、武力衝突の可能性は「高い」とし、自国防衛のための準備が必要だと訴えた。

一方、台湾統一には武力だけでなくSNSでの情報操作など中国による「認知戦」もあると指摘。欧米や日本などの西側諸国を合わせた経済力は中国の2倍を超えるとし「経済の統合抑止が可能だ」との認識を示した。
国際政治が専門の山本章子琉球大准教授は、日本が安保戦略に基づき兵器の導入を進めていることに言及した上で「民主主義国の日本では、世論が中国と戦うことを支持しない限り戦争はできない」と述べ兵器による抑止力を疑問視した。
基調講演した稲嶺恵一元知事は、外交と防衛のバランスが重要で「備え」があれば中国は無駄には攻め込まないと指摘した。(政経部・大野亨恭)