秋と夏のせめぎ合い 海面水温が高く水蒸気増加 短時間強雨や台風注意 1か月予報

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気象庁はきょう5日、この先の1か月予報を発表。気温は、北日本と沖縄・奄美では平年より高く、東日本や西日本は平年並みか高いでしょう。この先も、秋と夏のせめぎ合いが続きます。日本近海の海面水温が記録的に高いため、一時的に寒気が入ると、大気の状態が非常に不安定となり短時間強雨や竜巻などの突風が起こりやすくなります。また、10月も台風シーズンが続くため注意が必要です。
気温は北日本と沖縄・奄美で高い 西日本・東日本で平年並みか高い

今年は記録的な猛暑からの残暑が長引き、9月も全国的に気温が高くなりました。特に、西日本や東日本では1946 年の統計開始以降、9 月として1 位の記録的な高温となりました。気象庁がきょう5日に発表した最新の1か月予報によりますと、この先1か月は、上空の寒気の影響を受ける時期もありますが、暖かい空気に覆われやすく、気温は北日本と沖縄・奄美で高く、東日本・西日本では平年並みか高いでしょう。特に、沖縄・奄美では暖かい空気が流れ込みやすいため、10月中旬にかけて気温はかなり高くなる所があるでしょう。降水量は全国的に平年並みですが、日照時間は沖縄・奄美では湿った空気の影響を受けやすいため、平年並みか少ないでしょう。北日本:北海道、東北東日本:関東甲信、北陸、東海地方西日本:近畿、中国、四国、九州北部地方、九州南部
記録的に高い海面水温 水蒸気増加で短時間強雨のおそれ 台風にも注意

降水量は全国的に平年並みの予想ですが、油断はできません。今年(2023年)は、日本近海で春以降、記録的に高い海面水温が続いています。9月の平均海面水温は、統計を開始した1982年以降で9月として最も高く、平年差が+1.6℃と特に大きくなりました。10月4日現在、日本近海では平年より海面水温が高く、特に、日本海や北日本の太平洋側では平年より2℃~4℃も高くなっています。海面水温が高いと、1)海面上の空気が暖められ、上空との気温差が大きくなり、大気の状態が不安定になりやすくなります。2)海面からの蒸発量が多くなって、海面上の空気が(雨雲のタネとなる)水蒸気をより多く含むようになります。このことから積乱雲が発達しやすくなるため、短時間に降る強い雨や落雷、竜巻などの突風に注意が必要です。
台風の発生数 極端に少ない

今年は9月の台風の発生数が2個と極端に少なく、9月の発生数としては1951年の統計開始以来、1951年、1973年、1983年の2個と並んで最少タイ記録となりました。台風は、平年ですと1年間に約25個発生、9月下旬までに18個程度発生しますが、今年はまだ14個と、平年に比べてかなり少なくなっています。10月の平年の発生数は3.4個、日本への接近数は1.7個となっています。日本の南の海面水温は30℃以上と高く、10月もまだ台風に注意が必要です。ちなみに、2020年は9月までの台風発生数は13個でしたが、10月~12月に10個の台風が発生(10月に6個、11月に3個、12月に1個)、年間発生数は23個と帳尻を合わせるかのように多数発生しました。一般的に台風は海面水温が26~27℃の海域で発生するといわれていますが、大気の状態も重要な要因であり、海面水温が高いだけでは台風の発生・発達につながりません。ただ、新たに熱帯低気圧や台風が発生した場合、発達を助長するような高い海面水温が広がっているため、今後も注視が必要です。来週末には、再び南海上で台風の発生を予想している気象予測モデルもあり、今後の情報に注意して下さい。
10月も台風に注意

気象庁は、特に大きな災害を伴った台風には洞爺丸台風や伊勢湾台風など名前をつけています。これまでに名前がついた台風は10個。内9個が9月に襲来していますが、2019年台風19号(令和元年東日本台風)は10月に襲来し、関東や東北を直撃。首都圏にも大雨特別警報が発表されるなど甚大な被害をもたらしました。10月もまだ台風シーズン。日頃からハザードマップの確認や、側溝の掃除など、備えは万全にしておきましょう。