近い将来起こる「太陽光パネル廃棄問題」にも取り組む リサイクル率99%を実現する「頑固なゴミ屋さん」って一体何者!?

国内で年間約3億9000万トン排出されている産業廃棄物は、処理に費用と手間がかかるため不法投棄が後を絶たず、厄介もの扱いされています。しかし、自ら看板に「頑固なゴミ屋さん」の文字を掲げ、近い将来全国的な問題となるといわれている「太陽光パネル」のリサイクルに取り組んでいる会社が。頑固なゴミ屋さんに密着しました。
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愛知県豊川市にある産業廃棄物を処理している加山興業株式会社は、プラスチックや木材、金属くずなど年間5万8000トンあまりの産業廃棄物を処理しています。会社の看板には「とっても頑固なゴミ屋さん」の文字が。「さん付け」にはしていますが、自らをゴミ屋と言うそのこころは。
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(加山興業・加山順一郎代表取締役)「“資源循環リサイクル業”と言われても何の資源をどのように循環させてどうリサイクルさせていくのかなかなか見えないが、(ゴミ屋さんは)一番わかりやすいしうそ言ってないなと」
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同業者から“「ゴミ屋」は止めたら?”と言われることもありますが、必ず出る産業廃棄物の処理で社会を支えるという誇りを持って大きく打ち出しているそうです。
(加山興業・加山順一郎代表取締役)「ゴミ処理が止まると、世の中が大変なことになってしまう。(環境維持の)一助を廃棄物処理業が担っていると自信を持って日々の仕事に取り組んでいる」
引き受けた産廃を、単に細かく砕いて燃やしたり埋めたりするだけでなく最も力を入れているのがリサイクルです。

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ゴミの中から使える資源は機械や手作業で徹底的に抜き取ることで、リサイクル率は全国平均の52.7%を大きく上回る82%に。できる限り埋め立てるゴミがないように、産廃から固定燃料を作り出すなどリサイクルに取り組み、資源として販売もしています。
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加山興業は、小学生向けの教育に特に力を入れています。取材した日は、豊川市の豊小学校で校庭にパッカー車を乗り入れ、子どもたちに収集車に乗ってもらったり、ゴミを収集車に投げ入れたりする体験を通して「ゴミ屋さん」の仕事を楽しみながら伝えていました。
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(加山興業・経営企画室・池田陽帆さん)「みんな投げ入れてくれているけど、本当のゴミは結構重たいから(収集車の)運転手さんって大変なんだと思ってくれたらいいな」
また、子どもたちは正しく分別をして捨てないと、回収したときに1200万円もする収集車が火事になるケースもあることを学びました。
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(4年生の児童)「(以前は)ゴミを触って汚くないのかなというイメージだった。頑張ってくれる人がいるから私も(分別を)頑張ろうと思った」
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ゴミを扱う仕事へのネガティブなイメージを払拭するために、今まで延べ60回以上訪問授業を行い、約3600人の児童にこの仕事について伝えてきました。
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加山興業がもう一つ力を入れているのが、近い将来全国的な問題となる「太陽光パネル」の処分です。

(加山興業・加山順一郎代表取締役)「太陽光パネルの寿命は大体20年強といわれていますので、20年経った後のパネルって誰がどうリサイクルするのだろうと。よく2030年問題といわれています」
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太陽光発電は日本中で原発が止まり、電力不足が起きた東日本大震災以降関心が高まりました。翌2012年から国の買い取り制度も始まって一気に普及が進み、累計導入量が約6476万キロワットと、この10年で20倍以上に増えています。
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初期に設置された太陽光パネルが2030年代に耐用年数を迎えるため、今後大量廃棄が確実に起きます。そのため国は2022年からパネルのリサイクルを義務化する検討も始めています。
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加山興業では2022年に太陽光パネルのリサイクルを始めました。最初に機械でパネルを四方からアームで引っ張り、アルミフレームを撤去。これは金属の資源として販売。しかし、パネルのガラス部分を取り外す作業は手作業でした。
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そこで、作業の効率を上げる全自動の機械を導入しました。1時間あたりの解体枚数は、手作業の場合はたった8枚でしたが、機械では24枚。ただ、特殊な形のパネルや割れた物も確実に分別するため手作業も併用しています。
(加山興業・経営企画室・田畠真一室長)「太陽光パネルは畳サイズが主流なのでどんどん自動機で分別していく形。循環型社会を形成するために大事なプロセス」
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この機械と手作業の併用で99%のリサイクル率を実現。ここでも確実なリサイクルを突き詰める頑固さが現れています。
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(加山興業・加山順一郎代表取締役)「リサイクル率がアップできるように設備や人材の導入を積極的に進めていきたい。“ゴミ屋の総合デパート”といったらおかしいかもしれないが、それまだ(リサイクル)できないんですよっていうことがないようにしたい」
物価の高騰や資源不足の中、日本にとってリサイクルの徹底はいまや国の将来がかかる重要課題でもあるのです。
CBCテレビ「チャント!」2月8日放送より