豚の心臓を人間へ移植する2例目成功 史上初受容者が元受刑者だ…の画像はこちら >>
58歳の心臓疾患を持つ男性が、史上2例目となる豚の心臓移植に成功した。しかし今になって、移植された1人目の患者が元受刑者だったという事実に波紋が広がっている。『DailyMail』が伝えた。
アメリカ・メリーランド州に住み末期の心臓病を患う男性が、遺伝子組み換え豚の心臓の移植を受けた。本来であれば、人のドナーから心臓移植となるはずだった。
しかし、この男性は血液循環が低下してしまう末梢血管症を患うため、人の心臓と適合せず豚の心臓を起用することになったという。
男性の移植は無事成功。すでに補助器具によるサポートを外しており、自発呼吸を行っているという。男性はひっ迫した状況だったため、「移植していなければ助からなかった」と医師たちは話す。
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豚の心臓移植の例は、この男性で2人目。世界で初となった豚の心臓の受容者は、元受刑者のベネットさんという男性だった。
1988年にエドワードさん(当時22)という男性が、ベネットさんとあるビリヤード場で居合わせた。ベネットさんはエドワードさんの胸や背中を7ヶ所をめった刺しにして、刑務所に5年間服役することになる。
エドワードさんは一命を取りとめたが、事件後に半身不随になっている。2005年に38歳で脳卒中を患い、2年後に40歳で亡くなった。
ベネットさんの移植が行われたのは、2022年の初め頃。世間は医療技術の進歩と将来への期待に注目し、移植を賞賛した。
この様子をエドワードさんの妹であるレスリーさんは屈辱に感じ、亡くなった兄のために声を上げた。
BBCのインタビューに「彼は移植を受ける資格がない」「ヒーローのように扱われるのが好きではない」「『最初に医療の恩恵を受けるべき人物ですか?』と聞かれたら、『道徳的にノーです』」と発言している。
アメリカ国内で移植を待っている待機組は、年間で11万人にも上るという。そのうち6,000人以上が、移植できないまま死亡してしまうそうだ。
メリーランド大学医療担当副学長マーク・グラッドウィン博士は、「この革新的なプログラムは外科における分子医学の未来を体現」「すべての患者が臓器を利用できる可能性のある未来が待っている」と話す。
移植後の男性の容体は安定しており、異種移植の成功例として今後の進展が期待される。