「彩」ちゃん「葵」ちゃんを抑え… 平成オールタイムを制した“女の子の名前”は?

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「明治安田生命の生まれ年別の名前調査」をご存じでしょうか? 各年に生まれた赤ちゃんに付けられた名前についての調査で、その結果は、よくメディアで取り上げられます。
最新の2022年版によれば、男の子の1位は「蒼」(あおい、そう、あお、そら、他)で、女の子は「陽葵」(ひまり、ひなた、ひな、他)という結果でした(調査サンプルは「その年のご加入者および既契約情報」とのこと)。
ではここで、平成以降における、女の子の名前1位を整理してみたいと思います。こういう結果となりました。思ったより変化が激しいようですね。

トピックとしては、こんな感じ。
・90年代に「美咲」がV6。
・00年代に入って、唯一平仮名で気を吐く「さくら」。
・最近では「結」「菜」「陽」「葵」の組み合わせ合戦の様相。
さて、この表を見ながら思ったのです――「これらの中の1位、つまり平成オールタイム・ベストは何なんだろう?」。そうだ、京都行こう、じゃねぇや、調査してみよう!
問.あなたが今、女の子の赤ちゃんの名付け親になったとして、以下の候補の中で、付けてもいいと思う名前を、いくつでも結構ですので、お選びください(読みはご自身で想像・設定していただいて結構です)。
裕子、愛、彩、美咲、明日香、萌、未来、さくら、優花、葵、陽菜、結愛、結衣、結菜、凛、咲良、結月、陽葵、紬
おいおい「裕子」って何だよ、という声が聞こえてきました。すいません、これ1982年の1位なのでした。上の表にも「子」を付けた名前は一切ありません。果たして「子」の時代は昭和で終わってしまったのか、復活の兆しはないのかを調査するために、あえて入れてみたのです。
さて、どんな結果が出るか。私の仮説としては、「結」「菜」「陽」「葵」の組み合わせ合戦が飽和状態になっているような気がして、アンケートに中でも目立っている平仮名の「さくら」がトップに飛び出るのではないかと思ったのですが。
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さて、まずは3位と2位です。タイトルにもあるように、「彩」(あや、他)と「葵」(あおい、他)と、両方とも「あ」から始まる名前が3位と2位を占めました。

まず、「彩」は先の調査で1990年の1位。時代が一周、いや三周くらい回って、今3位になったというのが面白い。これは一種のリバイバルですね。「平成レトロ」のブームに近いものがある気がします。
この「彩」、年代別で見れば「男女50-60代」では何と1位なのです。「平成レトロ」時代にバリバリだった世代には「彩」の彩(いろど)りがまぶしいのでしょう。あと杉本彩、上戸彩、石黒彩……らの残存効果も?
「葵」は2位もうなずけます。というのは、2015~2016年に2年連続でトップになりましたが、その後2020年と最新の2022年、「陽葵」と形を変えながら1位になっているのですから。「男女10-40代」「男女50-60代」でもともに2位と、まんべんなくポイントを稼いでいます。
では、ここで4位以下を見ていきましょう。4位は「美咲」、90年代の帝王がのし上がってきました。これも一種の平成レトロか、もしくは「彩」同様、時代が三周くらい回っている間に「いい寝かせ方」をしたのか。

ちなみにこの「美咲」、「男女50-60代」では3位に浮上、逆に「男女10-40代」では7位にダウン。90年代を最前線で生きたシニア好きのするネーミングのようですね。シニア世代の私などは、伊東美咲を思い出しました。
5位は、ここで来ました、仮説通りの「さくら」! 選択肢の中では平仮名が光りますね。あと何といっても日本人好みする花の代表ですから、根強い人気があるということでしょう。
逆に最下位は――何と2022年のトップの「陽葵」。私の仮説通りに、「結」「菜」「陽」「葵」の組み合わせ合戦が飽和状態になっているのか(確かに「結菜」も伸び悩みました)、もしくはそれ以前に、シニア層には「読めねえよ」という話になっているのか……というわけで「陽葵」ブームは、そんなに長くないのかも。
では最後に1位をご紹介。
激戦を勝ち抜いた「平成オールタイム・ベスト」は――「凛」(りん、他)。

2014年、そして2019年に1位となった後も「凛」は、2位(20年)→3位(21年)→2位(22年)と高値安定。この高値安定の蓄積が、今回のトップ獲得につながったのでしょう。
ちなみに「凛」、「男女10-40代」では1位ですが、「男女50-60代」では4位にダウン(1位は先述の「彩」)。ヤング・シニア層向けネーミングという感じで、まだ、これといった芸能人も思い浮かびません。ということは、そう簡単に陳腐化せず、人気が続きそうと思ったのですが。
それにしてもベスト3が「凛」「葵」「彩」――平成オールタイムは漢字1文字が制した格好となりました。この3人のアイドルユニットなんて流行るかも。
あ、言い忘れてました。「裕子」はブービー、最下位「陽葵」の1つ上の17位。やっぱり「子」ブームは昭和で終わってしまったようです。どうも復活の兆しはなさそうだな。

Sirabeeでは、音楽評論家、ラジオDJのスージー鈴木(すーじーすずき)さんの連載コラム【スージー鈴木のニッポンの民意】を公開しています。
毎回マーケットリサーチを実施し、そこから浮き彫りになる「ニッポンの民意」を世に問いていく連載です。今回は「平成オールタイムベストの女の子ネーミング」に関する調査を掲載しました。