死亡事故など、重大な事故が起きやすい時期は秋から冬にかけての季節と言われています。それは太陽の位置が低くなり西日がクルマに入ってくることが関係しています。
暑さも落ち着き過ごしやすくなってきた秋、クルマを運転する際も、乗車時などに車内が高温にならず不快感が和らぎますが、実は運転中重大な事故を起こす可能性が一番高い季節ともいわれています。
その大きな原因は「西日」。秋から冬にかけて太陽の位置が低くなり、西日が車内に入り込みやすくなり、その眩しさで視界不良を起こすからです。
快適ドライブの秋はなぜ「事故急増」? 特に注意すべき「魔の時…の画像はこちら >>首都高東扇島付近で強烈な西日が差し込む様子(ドラレコ画像)。
警察庁が発表している2018~2022年の月別交通死亡事故件数によると、10~12月の日没時刻の前後1時間の薄暮時間帯、いわゆる「夕暮れ時」の交通事故件数は、7~9月に比べて約1.8倍も多いという結果が出ています。
JAFでは正面からクルマに西日が差し込む状況を再現し、テスト車両の前方へ人に見立てたマネキンや信号機、対向車を置いて、それらが運転席から確認できるか検証実験を行ったこともあります。その結果は、サンバイザーを使わない場合、80m先の横断歩道に立たせたマネキンどころか、すぐ手前のマネキンも視認できず、ヘッドライトを点灯している対向車が辛うじて見える以外は、しっかりと確認できないというものでした。
これが現実の道路だった場合、夕方は学生の通学時間と重なることもあり、自転車や歩行者による飛び出しなどに遭遇する確率も上がります。常にまわりから歩道側に誰かいないか注意する必要性が高まります。
注意を払うと同時に、西日の対策もしたいところです。前述したJAFの調査によると、サンバイザーを使用した場合は、視認性がかなり改善されることが分かっています。ただ上方の視界は遮断されてしまうため、信号機や標識の見落としは注意すべきところ。
なお、JAFの調査ではサングラスを使用しての検証も行っています。レンズの色が濃いほど眩惑対策として有効という結果は出ましたが、日陰やトンネル内では、逆に危険を見落とす可能性もあるという評価でした。
結局、秋の夕暮れ時の運転対策は、道具以上にドライバーが集中力を高めることが重要のようです。また、早めのヘッドライト点灯で自車の存在をアピールすることも事故防止には役立ちます。