パレスチナ自治区のガザ地区攻撃に向かうイスラエル軍の主力戦車「メルカバMk.4」。その一部車両の砲塔上部に、ウクライナ侵攻後のロシア戦車と同じく即席の屋根がつけられているようです。これは何なのでしょうか。
パレスチナ自治区のガザ地区攻撃に向かうイスラエル軍の主力戦車「メルカバMk.4」。その一部車両の砲塔上部に、即席の金属製屋根がつけられていることが、複数のメディアで報じられています。
“最硬”メルカバ戦車にも「サンシェード」? 金属製の屋根を設…の画像はこちら >>2021年のハマスによる攻撃時にガザ地区近くに展開した「メルカバMk.4」(画像:イスラエル国防軍)。
ガザ地区を実効支配している支配するイスラム組織「ハマス」が、2023年10月7日に行った奇襲攻撃の際、「メルカバMk.4」は車体上部にドローンから爆発物を投下され撃破されました。不意を突かれたとはいえ、ごく簡単な方法で撃破されたことを受け、屋根が取り付けられたようです。
ただ、同じような屋根はロシア軍が、ウクライナ侵攻時に使用しています。このときは屋根をもってしても、「ジャベリン」などの対戦車ミサイルで車体上部を攻撃される「トップアタック」を防ぐことができず、「サンシェード」または「コープケージ(ニワトリ小屋)」などと揶揄されることもありました。
奇襲攻撃の際メルカバに投下された爆発物は、RPG-7に使用するロケット弾頭とみられており、今回の屋根装備でどこまで防ぐことができるかは定かではありません。しかし、2020年ナゴルノ・カラバフ紛争以降、小型の自爆ドローンによる攻撃などには一定の効果があるといわれています。
「メルカバMk.4」はレーダーと散弾により、敵から発射された対戦車ミサイルやロケット弾を迎撃するシステム「トロフィー」を搭載し、世界でも防御力が高い戦車という評価でした。しかし、ハマスのゲリラ的な戦法には苦戦しているようで、ドローンによる自爆攻撃やトップアタックが、戦車にとって重大な脅威になっていることがうかがえます。