〈広島・バラバラ殺人で再逮捕〉“猫を愛した男”は鈍器で祖母の知人を殴って殺害し切断、海岸に遺棄…当時の“親友”が証言「大ちゃんはふだんはおとなしくて優しいのですが…」

広島市佐伯区の警備員、植木秀俊さん(当時70歳)が2年前に失踪し、その後、切断された遺体が同区内の複数個所で見つかった事件。広島県警は10月22日、死体遺棄などの容疑で逮捕していた同区皆賀3丁目の無職、渡部大地容疑者(31)を殺人容疑で再逮捕した。
広島市佐伯区の警備員、植木秀俊さん(当時70歳)が2年前に失踪し、その後、切断された遺体が同区内の複数個所で見つかった事件。広島県警は10月22日、死体遺棄などの容疑で逮捕していた同区皆賀3丁目の無職、渡部大地容疑者(31)を殺人容疑で再逮捕した。
事件現場となった渡部容疑者の祖母の自宅(撮影/集英社オンライン)
渡部容疑者は2021年10月29日から30日にかけて、同区千同3丁目の祖母宅で植木さんの顔などを石のような鈍器で殴りつけ、殺害した疑い。調べに対し渡部容疑者は「殴ったが、殺してはいない」と供述しているという。渡部容疑者は刃物などを使って植木さんの遺体を切断、祖母宅の敷地内の近くの海岸に投棄したなどとして今月1日、死体損壊・遺棄容疑で逮捕されていた。植木さんは渡部容疑者の祖母と親しい関係でこの家にも出入りしており、渡部容疑者とは顔見知りだった。渡部容疑者は、小・中学校では優しい性格としても知られていたが、感情のコントロールが苦手だったようだ。小学校での5年間、渡部容疑者とともに同じクラスで過ごした男性が証言した。2人が過ごしたクラスには概ね8人から10人の児童が在籍していたという。「大ちゃんは対人関係を少し苦手としていて、こだわりの強さも相当のものでした。大ちゃんはふだんはおとなしくてとても優しいのですが、感情の起伏をコントロールできていないときもありました」男性は「大ちゃん」が感情を爆発させる場面を何度となく見てきた。「例えば大ちゃんが何か間違ったことをしたとき、先生や友達が『こうするんだよ』と教えても、それを聞き入れられないのです。暴力を振るったりはしないのですが、ひとりでイライラして頭をずっとボリボリいていたり、机にゴンゴン頭を打ち付けたり叩いたりしていました。クラスのカリキュラムでは取り組む内容によって、相手を変えてペアを組んでいましたが、僕は大ちゃんとペアになることが多かったこともあり、大ちゃんのことを親友だと思っています」
小学生の頃の渡部容疑者
渡部容疑者はペアを組んだ相手にとても優しく、この男性もたびたび励まされてありがたかったという。「九九の授業でもペアを組みましたが、途中でつまずくと互いに『頑張ればできる』と励まし合ったものです。大ちゃんは体育などで体を動かしたり、校外学習など外に出かけることも好きでした。自分の好みだったのかどうかはわかりませんが、スヌーピーに関する持ち物が多く、筆箱にもスヌーピーのイラストが描いてありました」心優しい「大ちゃん」だったが、ふとした拍子にキレると手がつけられなくなることもあったという。
「一緒に遊び始めて、大ちゃんが笑顔の状態のときでも、少しでもからかうと、突然『もう言わんでっ』と怒り出したこともありました。
殺害された植木さん
あと、大ちゃんは家族のことを話題にすることはほとんどなくて、お姉さんのことも『3つ年上のお姉ちゃんがいる』と話していたことしか記憶にありません。お父さんについても一度も話を聞いたことがありません。しかし、あるとき『東京のほうに旅行に行くんじゃ』と自慢していたし、運動会も家族総出で応援に来ていたので、家族仲が決して悪かったとは思えません」
中学生の頃の渡部容疑者
家族の中でも、渡部容疑者はとくに母親の愛を一身に受けていたようだ。「お母さんは顔の彫りが深く、ハーフのように見える方でした。僕たちのクラスは保護者が学校に迎えに来なければいけないときがあったのですが、いつもお母さんが来ていました。とにかく大ちゃんのお母さんは、先生といつも話し合っていた印象があります」渡部容疑者が中学に進んで接点がなくなったというが、今回の事件で男性は、久しぶりに「渡部大地」の存在を思い出したという。「報道で大ちゃんのことだとわかりました。お姉さんがSNSに載せていた家族写真も拝見しましたが、お母さんにも見覚えがあったので……。小学校を卒業するころには『また会えたらいいね』と言い合っていたんです。ただ、ひょっとしたら中学校進学以降はご家族以外の人たちとの接点があまり持てなかったのかもしれないですね…」人とコミュニケーションをとるのが苦手で、静かに過ごすことが多かった渡部容疑者は、ここ数年は母親と二人で集合住宅で暮らしていた。近所に住む祖母の自宅周辺では「猫好きな少年」として知られていた。かつての親友は言う。「昔はお祖母ちゃんの話も猫の話も聞いたことはありませんでした。もちろん、なぜ事件を起こしたかについてもわかりません」謎の多い事件を解くカギは、“大ちゃん”自身にある。
佐伯警察署(撮影/集英社オンライン)
※「集英社オンライン」では、今回の事件について、情報を募集しています。下記のメールアドレスかX(Twitter)まで情報をお寄せ下さい。メールアドレス:[email protected](Twitter)@shuon_news取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班