北陸 これからの時期は竜巻多発シーズン 今年は海水温が高く、竜巻発生多いおそれ

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これから冬にかけて、冬型の気圧配置が徐々に多くなってきます。北陸地方では、11月をピークに、12月にかけて竜巻の発生しやすい時期となります。今年は、夏の記録的な猛暑などの影響で日本海の海面水温が高いため、寒気が入ってきた場合は例年以上に竜巻の発生しやすい状態となります。25日(水)にも、上空に寒気が入って大気の状態が非常に不安定となり、竜巻などの激しい突風が発生しやすい状態となるでしょう。
北陸は11月が竜巻発生のピーク 12月までは要注意
これから冬にかけての時期は、冬型の気圧配置が徐々に増え、北からの寒気の影響を受けやすくなります。一方、この時期は海面水温がまだ高く、上空に寒気が入ってきた場合は大気の状態が不安定になって、竜巻発生の元となる発達した積乱雲が発生しやすくなります。北陸地方では真冬よりも10月から12月が竜巻が多く発生する傾向にあります。
富山県黒部市生地で立て続けに竜巻と見られる被害 北陸で竜巻の発生しやすい場所は?

富山県黒部市生地で、先日21日(土)と10月5日(木)に竜巻と見られる突風が発生し、屋根瓦が飛ばされるなどの被害が立て続けに出ました。図は、1991年~2019年の竜巻(竜巻以外の突風を含む)の発生分布になります。北陸地方では沿岸部に竜巻などの突風が発生しています。特に福井県の嶺北の沿岸~石川県の外海側の沿岸、富山県の黒部市や魚津市の沿岸、新潟県の上越市以北の沿岸が多くなっています。いずれも、海岸線が南西ー北東に延びている場所となります。これは、冬の季節風の風向きである北西の風と直交し、海から直接発達した雨雲が入りやすい所となっているためです。特に富山県黒部市では集中して発生していますが、これは富山湾の海面水温が外海(日本海)よりも高く、より暖かく水分を多く含んだ空気が直接入る場所であるためと見られます。その他、新潟市や金沢市の沿岸も多くなっていますが、人口や建物などが多く分布している場所は竜巻が発生した場合はより被害が明瞭に現れやすいということも考えられます。
11月を中心に例年より竜巻発生多いおそれ

今年の夏の記録的な猛暑の影響が依然として強く、日本海の海水温はまだ平年より高くなっています。一般に海面の温度と上空5500メートルの温度差が40度以上になると、大気の状態が非常に不安定となり、竜巻の発生元となる発達した積乱雲ができやすくなります。現在の海水温が22度以上あり、上空5500m付近でマイナス18度以下の寒気が流れ込めば大気の状態が非常に不安定となります。この時期の輪島の上空5500メートル付近の気温の平年値はマイナス16度前後ですので、平年より2度低い(=平年より少し強い程度)の寒気でも大気の状態が不安定になってしまいます。本日発表された3か月予報では、気温は12月までは平年並みか高く、1月は平年より高い傾向となっています。しかし、これはあくまで1カ月間のならした数字であり、短期的にでも寒気が入った場合は、(それほど強い寒気ではなくても)大気の状態が非常に不安定になり、発達した積乱雲が発生して竜巻の発生するリスクがあります。降水量は3か月ともほぼ平年並みの予想ですが、11月は降水量が多い確率40パーセントと、やや多い方に分があります。11月になると次第に冬型の気圧配置が増えてきますので、11月を中心に例年より竜巻の発生しやすいおそれがあります。海面水温の高い年末年始頃までは竜巻などの激しい突風の発生に注意が必要です。
25日(水)は再び上空に寒気 大気の状態が非常に不安定に

25日(水)は、北陸の上空5500メートル付近にマイナス21度以下の寒気を伴った気圧の谷が通過するでしょう。北陸地方は再び大気の状態が非常に不安定となり、発雷確率も石川県を中心に80パーセント以上と高くなるでしょう。25日(水)未明から夜遅くまで、落雷や竜巻などの激しい突風、ひょうなどに十分に注意して下さい。
竜巻に万一遭遇したら頑丈な建物に避難を

竜巻は発達した積乱雲によってもたらされます。このため、真っ黒な雲が近づいてきて雷鳴がし始めるなど、夏場のゲリラ雷雨と同様の前兆現象が見られます。北陸地方の場合は海上で発達した雲が発生することが多いため、沿岸部で海上で竜巻が発生していたり、漏斗雲が見られることがありますが、これらを目撃した場合は、すぐに頑丈な建物の中に避難することが鉄則です。建物の中に避難したら建物の一階に移動しましょう。地下がある場合は、地下に避難しましょう。窓とカーテンを閉めて窓から離れましょう。突風で窓ガラスが割れるおそれがあるためです。家の中で最も安全な場所はトイレなど、窓のない部屋です。また、竜巻が通過する際は飛来物のおそれがあるため、頭を守り、身を小さくしてやり過ごしましょう。