企業の9割以上が電気料金「値上がり」、価格転嫁の実態は?

東京商工リサーチは2月14日、企業向けの電気代に関する調査結果を発表した。調査は2月1日~8日、資本金1億円以上を大企業、1億円未満(個人企業などを含む)を中小企業と定義した上で4,434社を対象に行われた。

まず、直近1カ月の電気料金については、前年同月より「値上がりした」との回答が94.6%に達し、ほぼすべての企業が値上げに巻き込まれている事が分かった。

規模別で見ると、「値上がりした」の回答は大企業が94.7%(555社中、526社)、中小企業では94.5%(3,879社中、3,669社)で差は見られなかった。「値上がりしていない」の回答は、大企業が5.2%(29社)、中小企業が5.4%(210社)。

電気料金の値上がり率は、前年同月と比較して、10%単位で「10~20%未満」が23.9%で最多となった。10%~40%未満は56.4%(1,247社)と半数以上を占め、10%未満は15.5%(343社)にとどまっている。

また、100%以上は6.2%(137社)で、契約条件や使用量により急上昇した企業も少なくないとのこと。

電気料金が値上がりした企業に対し、電気料金の増加分のうち、何%を価格転嫁できたか尋ねてみた。結果、最多は「転嫁できていない」で90.9%となった。「全額転嫁」は0.8%(27社)にとどまっている。

規模別では、「転嫁できていない」は、大企業が91.7%、中小企業が90.8%で大差なく、大企業も価格転嫁が難しい実態が浮き彫りとなった。

「価格転嫁できていない」企業をそれぞれ業種別で分析したところ、建築設計業などの「技術サービス業」や自動車小売業など「機械器具小売業」、婦人・子供服卸売業など「繊維・衣服等卸売業」、介護事業などの「社会保険・社会福祉・介護事業」は100%であった。

産業別で価格転嫁できていない比率が高かったのは、情報通信業で97.5%。次いで、サービス業他が95.7%、建設業が95.5%で続く。最も低かったのは、製造業で82.6%であった。