キャンピングカーは“イタ車ブーム”? モビリティショーにズラリ並んだ見慣れぬ車種とは 業界の期待を一身に

ジャパンモビリティーショー2023では、キャンピングカー専門のコーナーがホールの一角を占有しています。より大きな業界の名物イベントがあるにも関わらず、今回、力を入れているのには、業界内で共通のある思いからだそうです。
2023年10月28日から11月5日まで一般公開される「JAPAN MOBILITY SHOW 2023(ジャパンモビリティショー2023:JMS2023)」は、「東京モーターショー」が55年ぶりに改名し生まれたイベントです。そのため、自動車業界だけでなく、他産業からも初参加企業が多く、なかでもキャンピングカー業界は会場となる東京ビッグサイトの東8ホールを占有して出展しています。今回参加した理由などを一般社団法人日本RV協会(JRVA)のイベント担当者に聞きました。
キャンピングカーは“イタ車ブーム”? モビリティショーにズラ…の画像はこちら >>フィアット「デュカト」(乗りものニュース編集部撮影)。
JRVA主催の大型イベントとしては毎年2月に行われる「ジャパンキャンピングカーショー」という全国からキャンピングカー製造業者などが集うイベントがあります。こうした業界内の有名イベントがあるにも関わらず今回あえてJMS2023に参加した理由を担当者は、「キャンピングカーをカルチャー(文化)へ」という業界内での認識が強く影響していると答えます。
「昔のキャンピングカーというと、レジャーという認識が強かったと思います。しかし最近、災害時の避難シェルターや車中泊などの人気で変わってきています。そうしたレジャーだけではない、マルチなクルマということを伝えたいという思いがあります」
実際に地方自治体などへのアピールも行っているとのことで、そうした場では「災害時にこんなキャンピングカーの使い方が出来るんですね」と驚かれることもあるそう。「クルマに水も電気もある、いわば家やインフラが動くクルマと言えます」と担当者も語ります。
会場でどんな車種が多かったかというと、車中泊の人気の高まりと共に、軽自動車からマイクロバスに至るまで大小様々な車両がキャンピングカー化されるようになったということで、会場でも大小さまざまな車両がありましが、やはり、「ハイエース」に代表されるワンボックスやミニバンやSUVを改造した車両など、普通免許で乗ることができる車両が多い印象です。その中でひときわ目立った車両が、2022年から正式の国内輸入となったイタリア・フィアット製の「デュカト」です。
「デュカト」の外観は変わらないバンコンタイプ、運転席のあるキャブ部分を残して後ろ部分に大きなシェルを架装するキャブコンタイプ、車両後部を殆ど作り変えてしまうセミフルコンタイプなど、幅広いキャンピングカー化に対応できる大型バンだそうで、欧州ではキャンプカーのベース車両としてかなり人気があるそうです。
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キャンピングカー用に電源などが追加されたフィアット「デュカト」(乗りものニュース編集部撮影)。
日本でキャンピングカーのベース車両としても人気の「ハイエース」よりも全長はやや長いといった感じですが、「デュカト」の方が車体幅もあり車高も高いため、ゆったりした空間が作れるとのことでした。リアゲートを玄関に見立て、運転席までダイレクトにアクセスできる空間を作ることができるほか、その幅広いスペースを活かし、電子レンジやコンロ、冷蔵庫など様々なものを設置することも可能です。
そして駆動形式がこのクラスの車両には珍しいFF(前輪駆動)を採用していることも、大きな利点となります。前輪駆動のため、プロペラシャフトなど、駆動系のパーツが床下になく、その空きスペースを床下収納にすることもできます。
日本ではかねてから国内輸入を求める声が大きかった車両ということで、2023年以降もキャンピングカー業界を盛り上げていきそうです。