ワクチンも“年1回案”検討…コロナと戦い続けて来た医師 5類引き下げで「リスクある人重症化させないことに集中」

新規感染者の減少傾向が続く新型コロナは、3月13日からマスクの着用が個人の判断に委ねられたり、5月8日から法律上の位置づけが「5類」に引き下げられるなど、扱いが大きく変わります。ワクチンの接種も「年に1回」とする案が浮上していますが、現場を見続けてきた医師はどう捉えているのでしょうか。 愛知県豊明市の藤田医科大学病院。
コロナ医療の指揮を執る岩田充永副院長に、ある場所を案内してもらいました。岩田副院長:「ここが今のワクチン会場になります。金曜日と土曜日の午後、2ブースでやっています」 愛知県が実施するコロナワクチンの大規模接種会場です。現在は金曜と土曜の午後、週2回開設しています。1日500人分の接種体制を維持していますが、最近訪れる人は週2日で200人ほどだそうです。この会場も3月25日で終了となります。
岩田副院長:「ワクチンを打ちたいと思ってくださる人に、できるだけ早く打ってもらうお手伝いができたのは良かったかなと。まさか体育館がそんなことに使われるとは、誰も思ってなかったと思います」 大規模接種は、2021年5月に始めた当初は広い体育館を会場に、多い時は1日に2000人ほどの接種を行ってきました。
Q.大規模接種会場が3月で終了します岩田副院長:「1つの役目が、ニーズには応えて終わったのかなと。ちょっと感慨深いものがありますね」 ワクチンが足りない時から、今や5回目の接種まで。2年近くにわたり果たした役目を、「感慨深い」と振り返りました。

新規感染者数の減少傾向が続く新型コロナ。5月8日からは、法律上の位置づけが季節性インフルエンザ並みの「5類」に引き下げられます。

マスク着用も3月13日からは「個人の判断」となり、ウイルスの呼び名も「新型」を削除した「コロナウイルス感染症2019」とする案が浮上するなど、コロナをめぐる環境は急激に変化しています。

ワクチン接種についても、秋から冬にかけて年1回とする案が検討されています。

岩田副院長:
「いよいよインフルエンザと同じような対応になってきたんだろうなという印象を持っています。インフルエンザとコロナと同時接種を念頭に置いてのことなのかなと。今までのワクチン接種で、重症化を予防するという免疫をもっていらっしゃる方は非常に多いだろうと。これを絶やさないようにするためには、年1回で十分ではないかと」

感染の予防ではなく「重症化の予防」。これまでの接種で獲得した免疫が、年1回の接種で維持されていくのではと話します。

ただ、あくまでもウイルスの脅威から解放されたわけではない、ということは忘れてはいけません。

岩田副院長:
「分類が変わったからウイルスの性質が変わるわけではないので。5類になって、感染しやすい場面は増えるであろう。重症化する、命に関わるリスクがある人たちはいるので、その方たちを重症化させない、そこに全勢力を集中していかないといけない」