海上自衛隊の新型掃海艦「のうみ」の命名式・進水式を取材してきました。まさに「百聞は一見に如かず」。新たな発見と、長年謎だった部分、色々現地に行かないとわからない裏側を見ることができました。
海自オタの漫画家である私、たいらさおりは2023年10月24日、「令和2年度計画掃海艦」の命名式・進水式を取材してきました!
私は船の進水をこの目で見るのは今回が初めて。晴天に恵まれたこの日、JMU(ジャパン マリン・ユナイテッド)鶴見工場の会場「艦艇建造船台」に入ると、目の前にさっそく新型掃海艦の姿を確認できました。
掃海艦というと、どうしても護衛艦や潜水艦などと比べて小柄なイメージですが、喫水下まで全て出ている状態だと、見上げる首が痛くなるほどの迫力でした。紅白幕やモール、くす玉に飾られて進水を今か今かと待つピカピカの艦の姿は、どこか誇らしげです。
「命名『のうみ』」キタ~!! 自衛艦の進水式を初めてみた海自…の画像はこちら >>2023年10月24日に進水した海上自衛隊向けの掃海艦「のうみ」(画像:防衛装備庁)。
今回の進水方式は船台進水といい、坂道状のレールを艦が滑り降りて海面へと進水するダイナミックなもの。なかなか見られないので期待も膨らみます。
報道カメラマンたちに混ざって写真を撮ったり、船体を眺めたりしているうちに式典の開始時刻に。音楽隊が定位置につき、造船所側の準備も整ったところで防衛大臣政務官が登壇、式典が始まりました。君が代を斉唱し、大きなサイレンが鳴ったあとにいよいよ艦名の発表です。
明らかになった新型掃海艦の艦名は「のうみ」。これは海上自衛隊の教育の総本山といえる広島県の江田島と地峡でつながる東能美島・西能美島の総称が由来なのだそう。
感慨にふけっていると、会場では早速、各社の記者たちがキーボードを叩く音が響き、ニュース配信におけるリアルタイムの大切さを感じたのでした。
さて、艦名が発表されたあとはいよいよ進水です。進水の流れは、斧を渡された政務官が支綱を切断する→綱がゆるむ→艦首に設置したシャンパンが割れる→船が滑り出す→くす玉が割れる→デッキから紙テープが降りる……と、ピ〇ゴラスイッチ的でちょっと面白かったです。新造艦が己の重みで明るい海に向かって走り出す瞬間の晴れやかな心地はいまも忘れられません。
会場には「のうみ」の門出を敬礼で見送る礼装の海上自衛官が整列していましたが、夫で海上自衛官のやこさんいわく、彼らは主に艤装員ではないかとのこと。「のうみ」はこれから艤装し、海上試験を行うなど、2025年の就役に向けてまだまだやるべきことが多数あるのだそう。進水がゴールではないのですね。
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関係者らに見守られて船台を滑っていく掃海艦「のうみ」(たいらさおり撮影)。
ちなみに、私は進水式のニュースを見るたびに「式典で艦を彩った飾りはどうなるの?」という非常に地味な部分が気になっていました。近くにいた広報の方に聞くと、最終的には処分されてしまうとのこと。それでも気になって式典のあとに岸壁に移動して海上に浮かぶ「のうみ」を観察していたところ、やがて作業船が近づいてきました。
風であちこちにちらばる紙テープを、艦の上にいる作業員と作業船の見事な連携プレーによって回収していくではありませんか。その姿は、まるで生まれたばかりの赤ちゃんのお世話をしているようにも見えて、思わず心がほっこりしてしまいました。