知りたいことがぜんぶわかる! 新NISA&iDeCoの超基本 第1回 「口座作ったまま放置してるけど…」新NISA、挫折した人でも再チャレンジする方法 – みんなの疑問を解説!

投資で得られる利益が非課税になる「NISA」(少額投資非課税制度)が、2024年から大きくバージョンアップします。

「口座を開いたけど利用していない」など、これまでのNISAを利用せずに挫折してしまった方も多いのではないでしょうか。『知りたいことがぜんぶわかる! 新NISA&iDeCoの超基本』(Gakken刊)をはじめ多くの書籍を手掛ける、金融メディア専門の編集プロダクション・回遊舎の代表取締役を務める経済ジャーナリストの酒井富士子さんに、皆さんから寄せられた質問にお答えする形で「どうすればNISAを上手に活用できるか」「挫折しないでNISAを続けるには」といった疑問にお答えします。
○制度が恒久化、投資も無期限になる新NISA

「NISA(ニーサ)」の口座で投資すると、通常、株式や投資信託などの金融商品に投資した際、売却して得た利益や受け取った配当に対して引かれる約20%の税金が非課税になり、すべて手元に残ります。
現行では一般NISA、つみたてNISA、そしてジュニアNISAと3つの種類がありますが、この3つとは切り離した形で2024年から新たな新NISAがスタートします。

現行NISAと比べると新NISAでは、これまで利用期限があった制度が恒久化され、一生涯利用できるようになるほか、非課税で運用できる期間も無期限化されます。つまり、NISA口座内で金融商品を購入すれば、一生涯非課税で運用できるようになるのです。
また、現行NISAではできなかった「つみたてNISA」と「一般NISA」の併用についても、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の併用ができるようになるほか、年間360万円・生涯1800万円と、ともに投資枠が増え、大きくバージョンアップします。

現行に比べて格段に使い勝手がよくなるNISA。「利用したほうがいいのはわかっているけれど、手続きが面倒」「口座は開いたけれど、その後何もしていない」……などこれまで挫折してきた人も少なくないようです。
今度こそ挫折することなく新NISAにチャレンジするにはどうしたらよいか? みなさんから寄せられた質問にお答えしながら、新NISAの活用法をご紹介していきます。
○A.つみたてNISAの口座を持っている人は、自動的に「新NISA」口座が開設されます。2024年1月以降、新NISA口座にアクセスして、投資をスタートしましょう。

つみたてNISAなど、現行NISA口座を開設して持っている人は、過去の口座を引き継ぐ形で、2024年になると同じ金融機関で新NISAの口座が自動的に開設されます。そのため、新たに口座開設の手続きの必要がなく新NISAを利用することができます。
2024年1月以降、現行NISA口座で購入した資産は、非課税期間が終了するまで(つみたてNISAは20年間、一般NISAは5年間)非課税のまま保有できます。

なお、現行NISAで購入した資産を新NISAに移すことはできません。何も商品を購入していないという人はまずは「つみたて投資枠」での投信積み立てからスタートしましょう(Q2参照)

○A.まずは、NISA口座にログイン。毎月の積立額と積み立てたい投資信託を決めて、自動的に積立投資が行われるしくみをつくりましょう。

投資初心者は、つみたて投資枠を利用して、定期的に「同じ投資信託」を、「同じ金額」で購入し続ける「積立投資」から始めるのがおすすめ。積立投資なら、価格が安いときには多く、高いときには少なく購入することになり、結果的に平均購入単価を下げられるため(ドル・コスト平均法といいます)、値動きを気にせずに投資ができます。
積立の設定を一度済ませてしまえば、あとは自動的に積立投資が続くので、まずはNISA口座にログインして積立投資の「しくみ」をつくりましょう。

下図は楽天証券を利用して、スマートフォンで投資信託を注文するときの流れです。
まずは積立をする投資信託を選び、カートに入れたら「一括積立注文」をタップ。次の画面で毎月の積立金額と、その金額を選んだ商品に何%ずつ振り分けるかの配分を設定し、注文完了です。
何を選んでいいのかわからないという人は「全世界株式型投信」を選ぶといいでしょう(Q3参照)

○A「投資信託」なら1本選ぶだけで、幅広く分散しながら投資できます。

Q2にも登場した「投資信託」。これは、国内外の株式や債券など、様々な商品が1つのパッケージになっている金融商品です。投資信託を1本選ぶだけで簡単に分散投資をすることができます。

投資信託の中でまず紹介したいのが、全世界の株式を投資対象としている「全世界株式型」と呼ばれるタイプです。

上の円グラフは「全世界株式型」が投資対象としている国を示したもので、アメリカや日本、ヨーロッパなどの先進国から、中国やインドなどの新興国まで幅広い国々の株式に投資していることがわかります。
投資対象を分散することで、ある国の景気が悪かったとしても、他の景気のよい国でカバーすることができるため、1国に集中して投資するよりもリスクを低減することができます。

運用期間を10年以上確保できるなど、長期の積立投資を行う場合は、一般的に全世界株式型などの「株式型」の投資信託で積極的に運用するのがおすすめですが、「株式型のリスクにどうしても抵抗がある」という人の選択肢となるのが、「バランス型」と呼ばれるタイプの投資信託です。

上の円グラフは「バランス型8資産均等タイプ」が投資対象としている金融商品を示したもの。株式や債券、REITを組み合わせており、投資先も国内や先進国、新興国と様々です。リスクの低い金融商品である債券が全体の3分の1以上を占めており、投資対象もバラバラであるため、株式型の投資信託よりも低リスクの運用が可能です。
○A.まずは「つみたて投資枠」の利用からスタート。年360万円の枠をいっぱいに使う必要はありません。

新NISAでは、文字通りコツコツ投資信託を積み立てて運用する「つみたて投資枠」と、株式や投資信託などを購入して運用する「成長投資枠」の2つの枠があります。

年間の非課税投資金額は、つみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円。年間で計360万円の投資枠がありますが、枠を使い切る必要はありません。まずはつみたて投資枠の中で、月1万円などと金額を決めて積立を始めてみましょう。

投資初心者は少額の積立から始めて、慣れてきたら徐々に金額を増やしたり、「成長投資枠」も利用して投資の幅を広げていったりする方法が安心です。
初めから余裕のない投資金額を設定するなど、無理をして家計が苦しくなっては元も子もありません。

なお、「つみたて投資枠」の中で購入することのできる投資信託は250本ほどありますが、すべて金融庁が厳選したもの。手数料が低く、投資初心者が安心して選べるラインナップです。
○A「成長投資枠」では投資信託の積立も、株式の購入も自由にできます。余裕資金を使い、よりリターンを得られる商品にチャレンジ投資してみても。

金融庁が厳選した約250の投資信託以外には投資できない「つみたて投資枠」に対し、「成長投資枠」では上場株式のほか、投資信託もインデックス型(*)以上の成績を狙う「アクティブ型」を選べるなど、つみたて投資枠より選択肢の幅が広いのが特徴。
よりリターンを得たい積極派におすすめですが、成長投資枠の使い方の3つのケースをご紹介していきましょう。

1つ目は、つみたて投資枠で購入している投資信託と同じものを成長投資枠でも購入するケース。つみたて投資枠の年間投資枠は120万円なので、月に10万円以上の積立を行いたい人は上限を超えてしまうことになります。その場合、成長投資枠を利用して、毎月足りない金額分を買い足すことができます。

2つ目は、つみたて投資枠で購入できない投資信託を、成長投資枠で購入するケース。つみたて投資枠で購入できる投資信託は限定されているのに対し、成長投資枠では一部を除いた投資信託が購入可能。つみたて投資枠では手堅い運用、成長投資枠では高リターンを狙った攻めの運用というような購入方法ができます。

3つ目は、株式投資を行うケース。つみたて投資枠では投資信託しか購入できないため、株式を買いたい場合は、成長投資枠で購入することになります。

成長投資枠の上限額は年間240万円。株式の一括購入はもちろん、つみたて投資枠で買える商品をこちらの枠でも積み立てるといった活用法もありです。

*日経平均株価などの株価指数のベンチマークと同じ値動きを目指す投資信託のこと
○まとめ

新NISAは利益が非課税になるお得な制度というだけでなく、これまで投資をやったことがない人でも使いやすい仕組みとなっています。これまで挫折してきた人も、悩むより一歩を踏み出すべき時。まずは、投資信託をコツコツ積み立てる方法で、投資に慣れていきましょう。
○『知りたいことがぜんぶわかる! 新NISA&iDeCoの超基本』

⇒Amazon.co.jpで購入する!『知りたいことがぜんぶわかる! 新NISA&iDeCoの超基本』

クチコミで大反響!! シリーズ累計5万部突破!

これ以上優しく書けない! 新NISA入門書の決定版!
「今のNISAはどうなるの?」「成長投資枠の正解は?」そんな悩みや疑問にお答えします!
どんな銘柄を買えばいいかもズバリ解説!

投資のもうけにかかる税金がゼロになる制度・NISA(少額投資非課税制度)が大改正! すでに、存在しているiDeCo(個人型確定拠出年金)とあわせて資産運用を始める、絶好のチャンスです。
しかし、いざ始めようとしても、面倒な手続きに躓いてしまったり、どの商品に投資したらよいかわからず、一歩が踏み出せない人も多いものです。そこで基礎知識から、手続きの流れ、知っている人だけが得をするテクニック、商品選びまで徹底解説!これ一冊で、初心者でも手軽に積み立て投資を始めることができます!

「投資ってなんとなく怖い」「家計に余裕がなくて貯金が出来ない…」「お金のことを考えるのがめんどうで…」そんな人、必読!

【目次】
第1章 新NISAとiDeCoの違い、教えてください!
第2章 サクッとわかる! 新NISAの賢い使い方
第3章 難しいことはさておき、iDeCoのお得な活用法が知りたい!
第4章 すみません、「投資信託」って何ですか?
第5章 これが正解! 新NISA&iDeCoの組み合わせ法

著:酒井富士子
定価:1,590円
発売日:2023年09月07日
発行:Gakken
判型:A5 、ページ数:176頁、ISBN:978-4-05-406921-3

酒井富士子 さかいふじこ 経済ジャーナリスト/金融メディア専門の編集プロダクション・株式会社回遊舎 代表取締役。上智大学卒業。日経ホーム出版社(現日経BP社)にて「日経ウーマン」「日経マネー」副編集長を歴任。リクルートの「赤すぐ」副編集長を経て、2003年から現職。「お金のことを誰よりもわかりやすく発信」をモットーに、暮らしに役立つ最新情報を解説する。近著に『知りたいことがぜんぶわかる!新NISA&iDeCoの超基本』(Gakken)『おひとりさまの終活準備BOOK』(三笠書房)など多数 この著者の記事一覧はこちら