3000万円超の売掛支払いのために海外風俗へ出稼ぎ…ホストにハマった自慢の娘に母は涙「何度も死のうと思った」「家族の心もボロボロになる」恐るべきホストの洗脳

「娘がホストクラブにハマり、多額の借金を抱えて海外の風俗へ出稼ぎに出ている」。そんな衝撃的な情報を本誌に提供してくれたのは大山さん夫婦(仮名、以下同)。「ホス狂」の娘を持った両親の悲痛な叫びを、前後編でお届けする。
集英社オンラインでは以前、「ホス狂」の娘を持つ母親と令和のホスト問題に関する記事を配信した。この記事を読んだ大山さん夫婦は「ホストのやっていることは法律的には犯罪ではないかもしれない。それでも、うちの娘のように人生を狂わされ、心身ともにボロボロになる家族がいることをもっと知ってほしい」と編集部に連絡をくれたのだ。「これまでマナミとは懸命に向き合ってきたつもりですが、育て方を間違えてしまったのでしょうか……」
「ホストによって崩壊する家族がいることを知ってほしい」と、連絡をくれた大山チカコさん
そう震える声で語るのは、ホストの沼にハマったマナミさん(27歳)の母、チカコさん(56歳)だ。娘のマナミさんには幼少期よりいろいろな習いごとをさせ、手塩にかけて育てた自慢の娘だった。地元の短大を20歳で卒業すると、地元の保育園に就職。彼氏もいて、公私ともに充実した日々を過ごしていた。しかし、2年半前からその日々に突然、暗雲が立ち込めはじめた。「彼氏との別れを機にマッチングアプリを始めたマナミが出会ったのが名古屋のホストクラブで働くRでした。マナミが24歳のころです。当時のマナミは実家暮らしだったのですが、私には『高校時代の友達のところに遊びに行く』と説明して帰宅が遅くなっていきました」(チカコさん、以下同)
「ホス狂」と化したマナミさん(両親提供。以下同)
その後、徐々に朝帰りが頻繁になっていき、心配になったチカコさんが事情を聞くと、マナミさんは「付き合っている彼氏がホストなんだ」と打ち明けたという。マナミさんにいわせるとホストクラブは「ディズニーランドみたいにキラキラしている場所」らしい。「マナミは大のディズニー好きで、コロナ禍で遊びにも行けない時期だったから、余計にホストクラブが楽しく感じたんだと思います」と、チカコさんはため息をつく。
それからほどなくして、マナミさんの生活は崩壊する。仕事後に、実家のある近県から名古屋のホストクラブへ。そして、翌朝に帰ってきてそのまま保育園に出勤するようになった。当然、そんな生活は体力的にキツイ。しかし、マナミさんはホストクラブ通いをやめるのではなく、ホストである彼氏Rのために、名古屋へと引っ越すことを選択する。職場は地元にあるのに、だ。「もちろん反対しました。主人は『何を考えてるんだ!』と怒鳴り、娘と取っ組み合いのケンカにまでなりました。それでも最終的に私たちが根負けし……」
マナミさんとR
結局、マナミさんはRと半同棲状態になり、職場の保育園には車で1時間半かけて出勤するように。そして5年間務めた保育園を退職することになった。さらに、マナミさんが家を出て半年ほど経ったころ、実家に複数のクレジットカード会社から料金未払いの督促状が届くようになる。マナミさんは保育園勤務時代には貯金が200~300万円はあったが、ホストクラブに通って豪遊すれば、たちまち飛んでしまう額だ。
「マナミが実家に帰ったときに聞いてみると、『彼氏の売上のために50万円のシャンパンタワーをやった』と言うんです。目の前が真っ暗になりました。でも本人は『副業を始めたから大丈夫』だと……」その“副業”がまさか風俗だったとは、チカコさんは夢にも思わなかった。
「風俗で働いていることは、主人がマナミに貸していたiPadのメールソフト履歴や、使わなくなったiPhone端末から知りました。最初はガールズバーで、その後はメンズエステや風俗店で働くようになり、名古屋市内の公園でお客さんと待ち合わせて、ラブホテルに行っているようでした。さらに、それで稼いだお金をすべてRの個人口座に振り込んでいることがわかりました。しかも総額3000万円も。どうやら膨れ上がった売掛金(ホストクラブのツケ制度)を返済し続けているようなんです」
風俗嬢をするマナミさんの紹介ページ
その間も、カード会社からの督促状は実家に届き続けている。マナミさんは自身の借金は一切払わずに、ひたすらRへの売掛金の支払いを優先していたそうだ。そして現在、マナミさんは海外にいるという。「今年の9月中旬から海外の風俗へ出稼ぎに行っているようです。実は海外への出稼ぎは今回で3回目。過去の滞在時に撮ったのか、全身タトゥーまみれの外国人男性と半裸で映っているようなものもありました。娘がいつか殺されてしまうのでは、と気が気ではありません……」マナミさんがRと出会って2年半。保育士時代の素朴な様子は完全に失われてしまった。本人はRから“選ばれた人間”だと思っているようで、今でも「彼氏を応援するためにお店に行くことがある」のだという。だが、自身の彼女に店で数千万円規模のお金を使わせ、その支払いのために海外の風俗に出稼ぎに行かせる……そんな恋人関係などあるのだろうか。チカコさんは目に涙を浮かべて、心情を吐露する。「何かに取り憑かれ洗脳されたように急激に変わっていく娘を目の当たりにし、本当に悔しかった。あの子を止めることはもうできない。きっといくら手を差し伸べようが、ダメなんです。自分自身が気付いてくれないと……」
稼いだお金をドルから日本円に計算し直している画面。「誰に送ってるのかはわかりませんが、おそらくRなどにいくら稼いだかを連絡しているんじゃないでしょうか」と両親は推測する
自己責任といえば、それまでだ。チカコさんもそのことは重々に承知している。けれど、母親として願うことはただひとつ。「Rに貢ぐために自分を犠牲にして風俗で働くなんて…彼にマインドコントロールされているということに、早く気づいてほしい」娘を思うあまり「何度も死にたいと思った」というチカコさん。ノイローゼのような状態に陥る時期もあったが、依存支援団体によって今は何とか人前で話せるようになったという。
マナミさんはRのことを彼氏だと信じて疑わない
マナミさんは12月11日に海外から帰国する予定だが、母親の訴えをどこまで真摯に受け止めることができるのか。後編ではマナミさんの父から話を聞く。取材・文/河合桃子集英社オンライン編集部ニュース班