“大麻グミ”を配布していた男性(40代)は祭りの常連で「インド音楽が好き」「神様の名前をよく話していた」カバンには大量のグミ…親切にしてもらった“お礼”に配った?〈武蔵野はらっぱ祭り〉

都立武蔵野公園で11月4日に開催された「第34回・武蔵野はらっぱ祭り」で、来場者の男性(40代)が配っていたグミを食べた男女5人(10~50代)が、嘔吐などの体調不良を訴えて病院に搬送された。グミが入っていた袋には「HHCH」とプリントされており、大麻由来の「THC」に似た成分がグミに含まれていた可能性があるとして、警視庁はグミの成分鑑定を進めているという。
祭りの舞台となったのは、JR武蔵小金井駅から徒歩20分ほどの場所にある「都立武蔵野公園」の一角(通称・くじら山)。コロナ禍以降およそ4年ぶりに”制限なし”で祭りが開催されるとあって、当日は延べ3~4千人もの来場者が訪れたという。過去に何度か「武蔵野はらっぱ祭り」に参加したという男性(50代)は、祭りの印象についてこう語る。「『武蔵野はらっぱ祭り』が始まって間もない1990年ごろは、ヒゲ面やロン毛にタイダイ染めのシャツといった、いわゆるヒッピースタイルの人たちがお店を出したりステージで演奏したりしていて、ちょっと怪しげな雰囲気はありましたね。それこそ20年ほど前には大麻解禁の署名を集めようとした参加者もいたらしくて、それが問題となり、何年か開催中止になったこともありました。でも、ここ数年はそういう怪しげな人たちもあまり見かけなくなったし、ふつうの市民の方たちがお店を出したりして、親子連れの参加者も多かった印象です」
「はらっぱ祭り」の様子(主催者SNSより)
祭り会場にはリサイクルバザーや、ケバブ、チベット料理などの飲食店をはじめとした50店舗近い数の屋台が集まった。中央のステージではバンド演奏なども行われていて、まるで”野外フェス”のような盛り上がりを見せていたという。異変が起きたのは、4日の昼すぎのことだった。参加者の男性(40代)が配っていた「グミ」を食べたという10~50代の男女6人が吐き気などの体調不良を訴え、そのうち5人が病院に搬送されたという。社会部記者はこう解説する。「グミを配っていたのは白杖をついた男性(40代)で、『よかったら食べない?』などと言いながら、ポケットから1粒ずつ出して手わたしていた。この男性が持っていたグミの袋には『HHCH』とプリントされており、大麻由来の『THC』に似た成分が含まれていた可能性があるとして、警視庁がグミの成分の鑑定をすすめている」この”大麻グミ”を配っていた男性は警察の調べに対し「食べると元気になると思い、他の人にも食べてもらいたかった」などと話しているという。
問題となった”大麻グミ”(販売店通販サイトより)
祭りに参加していた男性(30代)は今回の騒ぎに驚きを隠せない。「その日は友人が祭りのステージでライブをするので参加したんですけど、たしかに白杖をついた中年の男性は見かけました。その男性は周りの人から『大丈夫ですか?』『こっちですか?』と肩を借りながら歩いていましたが、まさかその人だったとは…。その日はお昼くらいに『グミを配っている人がいるので受け取らないでください』みたいなアナウンスが流れたので、『なに言ってんだ?』みたいな感じだったんですけど、たまたま本部のテントの近くを歩いていたら、3~4人くらいの人たちがテントで横になってスタッフの人に介抱されていました。幸い、みなさん意識はあるようでしたが、『うう…』とうなされてる方もいました。そしたら救急車のサイレン音がして、ほかに参加していた人たちも『どうしたどうした?』と騒然としてましたね」
武蔵野公園(撮影/集英社オンライン)
10年前から祭りで飲食店を出店しているという70代の男性は、今回”大麻グミ”を配った男性についてこう語る。「騒ぎを起こした人は祭りの常連さん。何度かウチの出店にも来てくれたんだけど『オススメは〇〇(メニュー名)です』って教えてあげると『ありがとうございます』と礼儀正しいし、ちょっと怪しい雰囲気はあるけど悪さをしそうな感じには見えなかったね。あと、本人は『インド音楽が好き』と話していて、よく聞き取れなかったけど、インドの神様の名前をよくつぶやいていたね」以前から何度も祭りに出店しているという男性(60代)も、騒ぎを起こした男性についてこう語る。「グミを配った男性はいつも祭りに顔を出していて。白杖をついてるから、周りの人たちから『大丈夫?』みたいな感じで助けられてる光景は何度も見てきた。実行委員会のスタッフも、今回の事件は『周りの人に助けてもらったお礼としてグミを渡していたんじゃないか?』と言っていたね。スタッフは取り調べにも立ち合ってるけど、グミを配った男性は『他の人にもらった』と話していたみたい。でもカバンの中にはいっぱいグミが入ってたらしいよ」この男性によると、翌日の朝、実行委員会から「グミ事件」について説明があったという。「正直な話、今回の『グミ事件』については実行委員会もまったく予想してなかったから驚いているみたいよ。それこそ連日、主催者の携帯電話に何十件も着信があったそうだし、X(旧Twitter)でも『はっぱ祭りじゃん』とか『ヒッピーがやってるから仕方ない』みたいに誹謗中傷のカキコミも相次いでいて、実行委員会も嘆いていたな。もともと『はらっぱ祭り』は1987年から始まった歴史のあるお祭りなんだけど、ここ最近はコロナの影響で人数を絞ってしか開催できなかったから、今年は久々に制限なしっていうんでみんな楽しみにしてたのよ。それがこんな結果になって、グミを配った人には『ふざけんな!』って言ってやりたいよ」
小金井警察署(撮影/集英社オンライン)
警視庁小金井署によると、この”大麻グミ”を配った男性はグミの配布について認めており、同庁はグミの成分や、配布した目的などについて調べているという。
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