日本一強気な公園、看板とのギャップに目を疑う 「少子化の象徴」と嘆きの声も…

「公園」と聞くと、何を連想するだろうか。無邪気に駆け回る子供たち、ベンチに仲良く腰掛ける老夫婦、ブランコやすべり台といった遊具などを思い浮かべる人が多いはず。
しかし以前X(旧・ツイッター)上では、都内某所で発見された「子供が泣くレベルで殺風景な公園」が、波紋を呼んでいたのだ。
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今回注目したいのは、Xユーザー・くぅさんが投稿した1件のポスト。
「子供が公園って言われてこの空き地連れてこられたら泣くだろ」と意味深な1文の綴られた投稿には、いかにも「閑静な住宅街」といった佇まいの風景が映った写真が添えられている。
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どう見ても「無」が広がっているとしか思えない前方の空間。脇のフェンスを見ると、こちらは「公園」であることが判明したのだ。

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左奥のスペースには申し訳程度にベンチが設置されているものの、フェンスに書かれた多数の禁則事項と比較すると、なんとも寂しい光景である。「これが公園だ! 文句あっか!」という、ストロングな意志の賜物かもしれないが…。
件のポストは投稿から数日で9,000件以上のリポストを記録し、他のXユーザーからは「禁則事項多すぎるし、マジで何して良いか分からん」「砂場もなければ水道もない、トイレもない。一体誰が何をする公園なんだ…」「座ることしかできなさそう」「これもう、少子化の象徴だろ」など、戸惑いの声が多数寄せられていた。

ポスト投稿主・くぅさんに話を聞いたところ、こちらは小金井市内の某所にて遭遇した公園であると判明。
発見時の様子について、くぅさんは「小金井公園という大きな公園に向かっていた途中、あまりに殺風景な空間が見えたので立ち寄ってみました」「公園から遊具が減っているとは聞いていましたが、ここまでなにも無くなったら公園と言えるのか分からなくなってしまうな…と感じました」と振り返っている。
そこで今回は、こちらの公園(?)の詳細をめぐり、同公園の施設社、ならびに小金井市に話を聞いてみることに。すると、知られざる「公園の正体」が明らかになったのだ…。
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子供が公園って言われてこの空き地連れてこられたら泣くだろ pic.twitter.com/Wstf7KVPCp
く (@qiwdu) October 5, 2023
10月某日、記者が話題の公園(?)へ向かうと、画像で見るよりもさらに殺風景な印象を受けた。公園名の表記も一切見当たらず、本当にここは公園なのか…? という思いがよりいっそう強まったのだ。

フェンスに取り付けられたプレートを見ると「大和ハウス工業株式会社」の名前が確認できたため、同社の担当者に詳しい話を聞いてみる。
すると、周辺の賃貸住宅、駐車場ならびに公園は同社が開発し、賃貸住宅と駐車場は同社が管理しているが、公園に関してはあくまで「施工業者」の立ち位置であり、同公園は個人が所有するものと判明したのだ。なお、開発の際は「小金井市の街づくり条例」に則って施工を行なったという。
そこで続いては、小金井市の「環境政策課緑と公園係」に話を聞くことに。

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まず、小金井市の定める「公園」の定義について尋ねてみる。こちらの質問に対し、担当者からは「『小金井市立公園条例』の第2条第1項に、市立公園としての定義が記載されております」との回答が。
大別すると、都市公園および都市公園以外の公園を指す「市立公園」と、「都市公園法」第2条の規定する市立の都市公園を指す「都市公園」、そして都市公園以外の市立の公園や緑地、市が当該公園または緑地に設ける公園施設に準ずる施設を含む「都市公園以外の公園」の3パターンが存在するというのだ。
小金井市の担当者は「今回の公園は『自主管理公園』として、公園を整備した後も開発事業主が自主的に維持管理していく公園になっています」とも補足している。

では今回の施設を「公園」と認めるため、市ではのような指導を施したのだろうか。
こちらの疑問について、担当者は「『小金井市まちづくり条例』第37条2項に記載されている『建築敷地面積が1,000平方メートル以上を必要とする建築物の建設事業』に該当する指定開発事業により築造された自主管理の公園となり、整備する上で根拠となる『小金井市宅地開発等指導要綱』等により適切に指導を行なっております」と説明していた。
なお「小金井市宅地開発等指導要綱」では、今回の規模の公園に設置基準として「車止め」「制札板」「植栽」「ベンチ(1基)」「公園灯(ソーラー等)」を規定している。

つまり、たとえ遊具が1つもなくとも「公園」として定義されるケースは存在するのだ。しかし現地を見る限り、件の公園には小金井市が「公園」と認めるために必要な整備が不足しているようにも感じられるが、果たして…。

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秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク。
新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力・機動力を活かして邁進中。
X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。ドン・キホーテ、ハードオフに対する造詣が深く、地元・埼玉(浦和)や、蒲田などのローカルネタにも精通。