日本を代表する歌手・松山千春を生んだ足寄町。町村で日本一の面積を誇る自然豊かな町には、神秘の世界が広がっている。日本百名山のひとつ雌阿寒岳の麓に広がる湖「オンネトー」は、季節や天候、見る角度によってエメラルドグリーンやダークブルーなどに色を変える「五色沼」とも呼ばれ、道外からも観光客が訪れる。
国の天然記念物「マリモ」の生息地として有名な阿寒湖も属する阿寒摩周国立公園の最西端に位置し、湖周は約2・5キロ。雌阿寒岳の噴火により川の流れが止められてできた小さな湖だ。
湖の西側には木造の展望デッキがあり、雌阿寒岳と阿寒富士をバックにオンネトーを一望することが可能。周辺には散策路も整備され、原生林に囲まれた手つかずの大自然を満喫することもオススメだ。
また、この時期ならではの楽しみ方もある。雪が積もる前の11月下旬から12月初旬のわずかな期間しか見ることができない凍ったままの湖面は絶景。気泡が閉じ込められる「アイスバブル」とともに、宝石のように輝く湖を一度見てみては。
特産品の一つである「ラワンぶき」は、町内を流れる螺湾(ラワン)川に沿って自生しており、大きいものは高さ3メートル、茎の直径が10センチ以上になる日本一大きなふきだ。アクが少なく、ミネラルが豊富で食物繊維も多く含まれており、肉厚で瑞々しい食感が特徴。水煮などで食べるのが一般的だが、収穫時期(例年6月ごろ)には生の「ラワンぶき」を味わうこともできる。2001年には「北海道遺産」に選定。種苗などを町外に持ち出すことを禁止し、町全体でブランドを維持している。
◇足寄町 1955年に西足寄町と足寄村が合併し、足寄町が誕生。十勝の東北部に位置し、東西に66・5キロ、南北に48・2キロで面積は約1408平方キロ。道内の中でも特に寒暖差が大きく、22年の気温は最高が34・1度、最低がマイナス24・2度だった。人口は10月末時点で6191人。特産品はラワンぶき、チーズ、いちごなど。主な出身者は松山千春、元プロ野球選手の三井浩二(西武)、鈴木宗男参院議員ら。