65年以上にわたって地球環境の観測を続ける日本の南極地域観測隊。その観測を「食」で支える調理師として、新潟県上越市のシェフが派遣されることになりました。遠い南極の地で上越の味をふるまいたいと意気込みます。
3日後に南極に向け出発するのは、上越市でレストランを営む高木和弥シェフ(50)です。
【トゥジュール 高木和弥シェフ】
「隊員のみんなが楽しみにできるような食事づくりを心がけたい」
高木さんは、第65次南極地域観測隊の越冬隊の一員として、約1年間、南極の昭和基地で27人の隊員の食事を作ります。
首都圏の有名ホテルでも腕を磨いてきた経験などが認められ、書類や面接試験を見事合格!
【トゥジュール 高木和弥シェフ】
「見たことがない市外局番から(電話が)かかってきて、『これ絶対そうだ』と、ものすごく興奮したのを覚えている」
南極行きのきっかけとなったのは、映画「南極物語」。小学生の時に見てから40年間ずっと抱き続けてきた夢でした。
【トゥジュール 高木和弥シェフ】
「これは上越の仲間が作ってくれた手作りのアルバム。ありがたい」
【高木シェフの妻・朋子さん】
「もらったとき泣いていた」
高木さんの夢を上越市で飲食店を営む仲間も応援してきました。南極に持参するのは、この“応援メッセージ付きのアルバム”だけではありません。
【杉山萌奈アナウンサー】
「実際に南極で隊員にふるまう予定だという、おいなりさんです」
煮つけた油揚げの中に天ぷらやかき揚げを入れる、その名も「天なり」のレシピです。
【トゥジュール 高木和弥シェフ】
「『上越の名物にしたいね』と作ったもの。これが好きで、隊員のみんなにふるまいたいなと。作り方を教えてと言った」
【杉山萌奈アナウンサー】
「中に入っているユズと大葉の香りがアクセントになっていておいしいです。しょうゆの甘い味付けが、遠い南極から日本のことを思い出すような味です」
また、パティシエの妻・朋子さんからは、焼き菓子・フィナンシェのレシピを教わりました。
上越の家族と仲間からもらったレシピや声援を胸に日本から1万4000km離れた南極昭和基地へと向かう高木さん。
これまで2人3脚で歩んできた妻とも再来年2月下旬まで離ればなれになります。
【トゥジュール 高木和弥シェフ】
「恐らく寂しいけど、隊員(と過ごす時間)が楽しいので、たぶんすぐに慣れちゃうんじゃないかと思う」
【高木シェフの妻・朋子さん】
「慣れちゃうんだ…」
【高木シェフの妻・朋子さん】
Q.ちょっと複雑?
「(隊員の)おなかを満たして、元気に帰ってきてもらえれば、それで十分」
ー20℃を下回る過酷な環境で観測業務にあたる隊員を和ませる大切な食事。朝は4時に起きて、1日3食を作り、南極観測を支えます。
【トゥジュール 高木和弥シェフ】
「今行っている隊員の料理はびっくりするくらい種類があって、その先輩たちに負けない料理を作りたい」