東京五輪招致活動の際、国際オリンピック委員会(IOC)の委員に官房機密費を使って贈答品を渡したとの発言があった石川県の馳浩知事(62)。追及に対し、自ら幕引きを図ろうとする姿に批判が後を絶たない。
東京五輪の招致決定当時、招致推進本部長を務めていた馳知事。11月17日に東京都内で行われた講演会で、「今からしゃべることはメモ取らないようにしてくださいね」とし、当時首相だった安倍晋三氏(享年67)に「馳、金はいくらでも出す。官房機密費もあるから」と言われたことを明かした。さらに、IOC委員105人全員のアルバムを作成したと言い、「官房機密費使っているから。1冊20万円するんですよ」と述べていた。
五輪関係者への贈答はIOCの倫理規定に抵触する可能性がある。そのため、当初から発言を疑問視する声が噴出することに。報道を受け、同日夜に馳知事は「誤解を与えかねない不適切な発言であり、全面的に撤回する」と弁解した。
18日には記者会見を開いたものの、記者の追及に対しては「撤回した」を連発。「撤回した具体的な発言を教えてください」という問いには「改めて全面的に撤回したということであります」と回答、「アルバムはあったのでしょうか」と切り込まれた際にも「改めて昨日、私自身の事実誤認を確認した上で全面撤回をいたしました」と返すなど、質問と回答内容が噛み合っていない場面もあった。
不可解な態度も影響し、馳知事の発言に対する疑問は世論で膨らむばかりーー。さらに22日、馳知事は記者会見でこう語った。
「全面撤回しているので、五輪招致に関して今後一切発言することはない」
自民党の五輪招致本部長として活動していた’13年4月1日のブログに想い出アルバム作戦の記述があることについては、事実と認めながらも、問題となった発言との関連については言及を避けた。
自ら幕引きを図ろうとする馳知事に対しては、非難が殺到。ネットでは《「撤回したからおしまい」では誰も納得しない》《恥を知れ》《政治家として不誠実で最低》《最も駄目な感じの逃げかただ!》と怒りの声が上がっている。
またこの件について、野党側は21日に馳知事の国会招致を要求している。立憲民主党の安住淳国対委員長(61)は「五輪のイベントも汚職まみれで、誘致もカネまみれだったのか。馳氏を参考人として国会に招致したい」と記者団に話し、共産党の小池晃書記局長(63)も会見で「機密費という血税を使った。国会に招致して、徹底的な解明が必要だ」と主張した。
しかし、Xでは参考人招致よりも重い意味を持つ証人喚問を求める声が続々と上がっている。
《嘘をつくと偽証罪に問われる証人喚問で語らせるべきだ》《馳浩は国会で証人喚問すべきでしょ》《馳浩は国会証人喚問一択》
馳知事の発言は、撤回では済まされない事態となっている。