[社説]きょう「県民平和大集会」 戦争回避へもっと声を

21日夜、全国瞬時警報システム(Jアラート)が作動し、スマートフォンからけたたましい警報音が鳴り響いた。 「ミサイル発射。ミサイル発射」「建物の中、または地下に避難してください」 沖縄都市モノレールは決められた手順に従って運行を一時停止した。 軍事化の動きが、さまざまな形で噴出している。本土各地と比べ沖縄では特にそれが顕著だ。 「ウクライナの次は台湾」「台湾有事は日本有事」という論法が突っ込んだ議論もないまままかり通り、台湾有事が既成事実であるかのように語られるようになった。 その際、想定されているのは沖縄の戦場化である。 在沖米海兵隊は、沖縄から出撃し、遠く離れた戦場に投入される遠征部隊だった。 キャンプ・ハンセンで編成された第12海兵沿岸連隊は、小規模な部隊を離島などに分散配置し、移動しながら作戦を展開する。 嘉手納基地では次世代型戦闘機によるローテーション(巡回)配備が始まった。兵力を分散させることで中国のミサイル攻撃をかわすという狙いがある。 新たな作戦の前提となっているのは自衛隊との共同作戦、基地・施設の共同利用、空港や港湾といった民間の公共インフラの積極活用など。 穏やかな南の島の市民生活が急速に「戦争色」を帯び始めているのである。 大きな変化に対応するためには、市民の側の発想転換が必要だ。■ ■ 基地の重圧は変わらない。だが、それを訴えるだけでは状況を変えるのは難しい。 今、切実に求められているのは戦争を回避することである。二度とこの地で戦争を起こすようなことがあってはならない。 ミサイル戦争であれ無人機戦争であれ、戦争で犠牲になるのは安全地帯から戦争をあおる政治家や評論家ではなく、そこに住む住民である。 そのために一市民ができることは何か。 「沖縄を再び戦場にさせない県民の会」はきょう、那覇市の奥武山公園陸上競技場で「全国連帯 11・23県民平和大集会」を開く。 労働組合や反戦団体が主導してきた運動は市民主体の運動に変わり、ここにきてさらに脱皮を遂げた。 「対話による信頼こそ平和への道」をスローガンに掲げ、「子や孫のために平和な島」をという普通の人々が共通に抱く思いを前面に打ち出した。■ ■ この集会のもう一つの特徴は、同じ日に県内離島や全国の複数の場所で並行して集会が開かれることだ。 戦争を防ぐという課題に対して、全国の人々が自分の問題として声を上げ、議論を喚起することを期待したい。 集団的自衛権行使の際の事態認定の問題など、多くの疑問が残されたままだ。 憲法に照らして国会に求められているのは、戦争を抑止する役割である。間違っても国会が戦闘参加にゴーサインを出すようなことがあってはならない。