黒曜石の石器が国宝に…黒色グルメで活気づく…遠軽町・あの街行く北海道

遠軽町は今年6月、町内白滝遺跡群から出土した黒曜石など後期旧石器時代(約3万年前~1万5千年前)の石器類が国宝に指定され、全国から大きな注目を集めている。1965点の国宝が展示される遠軽町埋蔵文化財センターは大人気。町内では「黒」が“ラッキーカラー”となり、黒色のグルメ、スイーツなども次々登場している。(取材・小林 聖孝)
遠軽町埋蔵文化財センターに展示された、深えんな輝きを放つ黒曜石の石器からは、太古のロマンが広がる。国内最大の黒曜石産地の白滝地区は、約300万年前に大きな噴火が起こり、カルデラが形成され、約220万年前にカルデラ内から溶岩が吹き出し、急速に冷やされ表面がガラス質の黒曜石に変化。約3万年前から人が集まり、黒曜石を用いた石器の産地に。やり先に付ける「細石刃(さいせきじん)」、先端がとがった「尖(せん)頭状石器」は、マンモスなど大型動物の狩猟、解体に用いられたという。
センター内には出土品ギャラリー、石器作りの解説や、旧石器時代の暮らしを描いたイラストコーナー、石器作りの体験学習室もある。石器キャラクター「いしのたから」グッズも販売。町ジオパーク推進課の松村愉文課長は「国宝指定は、研究者が積み重ねてきた地道な調査が、実を結んだと思う。次代にどう引き継いでいくか、国宝をどう活用していくかが重要だと思います」と話した。
「道の駅遠軽森のオホーツク」(佐藤茂駅長)は、2019年に北海道初のスキー場併設の道の駅としてオープン。夏場も「ジップライン」、「ツリートレッキング」などアクティビティーを楽しめる。“国宝効果”で、来場者も増加。フードコートでは、ごまペーストを使った黒いソフトクリーム「ジオソフト」(450円)、竹炭を使って黒く着色した牛すじ肉入り「ジオカレー」(980円)が人気。ベル食品遠軽工場が製造したレトルトカレー「遠軽町の国宝 黒曜石器群のような!黒いカレー」(650円)もヒット。町内の食品製造販売会社「白楊舎」も地元産ジャガイモを使い竹炭で色付けした黒いコロッケ「くろッケ」(150円)を販売し好調だ。
◇その他の“黒”スポット 丸瀬布昆虫生態館は、カブトムシ、クワガタ、蝶など昆虫を生きたまま展示する博物館。館内で俳優・哀川翔が所有するクワガタ、カブトムシを飼育する「アニキの森」も人気。丸瀬布森林公園いこいの森には、黒色の森林鉄道蒸気機関車「雨宮21号」が2キロの軌道を走行(冬期間休業)。
◇遠軽町 北海道の北東部の内陸に位置し、東西47キロ、南北46キロ。8割以上が森林。人口は約1万8000人。主産業は商業、農業、林業、木材加工業など。町のシンボル「瞰望岩(がんぼういわ)」、日本最大級コスモス畑がある「太陽の丘えんがる公園」なども有名。同町出身著名人に堀達也・元道知事、漫画家の安彦良和氏らがいる。