枚方市のふるさと納税返礼品に「うまい棒専用ケース」が登場。寄付金は約10万円、高級感漂う頑丈さで、うまい棒を守れるのか? ワンボックスで轢いてみると…

「ボロボロになったうまい棒で悲しむ孫の顔を見たくない!」そんな思いから、大阪府枚方市の会社が開発したうまい棒専用ケースが、枚方市のふるさと納税の返礼品として採用されSNSなどで話題となっている。その寄付金額は9万9000円からと1本12円のうまい棒の8250本以上と高額だが、車で轢いても高いところから落としても、うまい棒が砕けないのだとか。実際にこのケースの耐久力を検証してみた。
アルミケースの製造販売会社「アクテック」によって生み出された、うまい棒のためだけのアルミケース。このうまい棒専用ケースは、縦約20センチ、横約10センチ、厚さ4センチのアルミ製。蓋の部分はアクリル板になっているので、収納したうまい棒を鑑賞することもできる。内装は衝撃を吸収するためのスポンジと、高級感を演出するベロアの布でできており、うまい棒1本がぴったり収まるサイズだ。大切なうまい棒が盗まれないよう、盗難防止用鍵つきという徹底ぶりもうれしい。
うまい棒専用ケース
アクテックの芦田知之社長は「お気に入りのうまい棒を壊れずに運ぶために使ってほしいのはもちろんですが、このケースを見た人が笑ってくれれば一番うれしい」と話す。遊び心が詰まったケースはなぜ開発されたのか。そのきっかけは、62歳のある社員の孫の悲しい経験だった。4歳の孫が幼稚園のお楽しみ会でもらったうまい棒(テリヤキバーガー味)をバッグに入れて持ち帰り、食べようと袋を開けると、なんと中のうまい棒が粉々に。変わり果てたうまい棒を手に悲しむ孫の姿を見た社員が昨年10月、うまい棒専用ケースの開発を会社に提案したのだ。するとこの企画が採用となり、プロ野球選手御用達のバットケースからドローン専用ケースまで、大切なものを安全に運ぶケースを半世紀以上、約3万種類にわたってつくり続けてきたアクテックが威信をかけて取り掛かることに。
アクテックのプロジェクトチームが開発中
間もなく芦田社長を含めた5人のプロジェクトチームが発足。アクリル板の加工や、ケースを入れるための外装箱も市内の企業に依頼するなど、徹底して市内生産にこだわり、2週間後に見事、完成!完成したケースが本当にうまい棒を守れるかを検証するため、プロジェクトメンバーの山内聡さんお気に入りの「うまい棒めんたい味」をケースに入れ、高さ70センチからさまざまな角度で計10回落としたり、社用車で轢いてみるなどの耐久性実験を実施したという。
高さ70センチの高さから何度も落として検証
山内さんは「見事、壊れませんでした。見守っていた僕たちもかなり興奮しましたね。でもキャラバンとかハイエースだったら危なかったかも(笑)」と実験を振り返る。
軽自動車の圧力にも耐えた!
こうして完成したケースは、うまい棒を販売する「やおきん」からの公認を得て、今年6~7月にクラウドファンディングの返礼品に。1個1万6800円~2万800円と高額にもかかわらず、78人からの申し込みがあり約151万円が集まった。ロックバンド「凛として時雨」のドラム、ピエール中野さんも自身のX(旧Twitter)で「これで持ち運ぶとき粉々にならない!」「本日は妻の誕生日なので好きと言っていたコーンポタージュ味です。イベントや気分で入れ替えて楽しみます。すごくいい」と投稿して話題に。
うまい棒専用のケースが届きました!これで持ち運ぶとき粉々にならない! pic.twitter.com/g3tw7RRjHd
予想以上の反響を受け、アクテック側からふるさと納税の返礼品にどうかと会社の所在地である枚方市に提案し、採用されることになった。山内さんは「ふるさと納税は肉とか魚とかの特産品がある地域のほうが集まりやすいけど、枚方ってそういった特産品がないんです。ものづくりの街なので、こういったおもしろいものを発信することで、少しでも枚方市に関心を持ってもらえたら」と語る。ひとつ9万9000円以上の寄付金を払わなくては手に入らないこのケースだが、本当にうまい棒を守れるのか、記者も検証してみることに。後日、郵送で届いたうまい棒ケースの中にはすでにうまい棒(めんたい味)が入っていた。重厚な見た目とは異なり、思った以上に軽くて持ち運びやすそうだ。高級感のあるベロアの布地は、めんたい味の紫色パッケージに見事にマッチしている。
高級感を醸しだすパープルカラー
さっそく検証のため、近所のコンビニでうまい棒を10本購入したのだが、持ち帰りの際に早くも1本折れてしまった。やはり専用ケースは開発されてしかるべきだったのだと実感。
これで120円!?
いざ実験開始。まずは本やパソコンが入った通勤バッグに入れて外出してみる。
荷物ひしめく手提げバッグの圧力に耐えられるか
30分後、中身を確認してみると、ケースに入ったうまい棒は無事だったが、バッグに直接入れたうまい棒は下半分が崩れてしまっていた。
ケースなしは見るも無残な姿に
次は、体重52キロの記者が踏んでみる。ケースが割れたらどうしようと恐る恐る乗ってみたが、ビクともしない。
オラー!
続いて、より強い衝撃を試すため、体重100キロの巨漢先輩に踏んでも、やはりケースは無事だった。
0.1トンのストンピングも何のその
落下の衝撃はどうか。耐久実験の2倍の高さである140センチの高さから落としてみると、パーンというすごい音がしたものの、やはりうまい棒は無傷。
アクテック検証の2倍の高さでも耐える!
続けて2メートルの高さから落としても結果は同様だった。くわえてケースには、傷がついたり、ヒビがはいったりといった様子もない。
それよりも床に傷がついたら大家さんに怒られちゃう
今度は1メートル先の壁に投げてみたが、ここでもうまい棒は無事だった。
近隣住民からの苦情のほうが心配だ
最後に、ワンボックスの車で轢いてみた。山下さんもハイエースでは耐えられなさそう、と話していたし、さすがにこれは耐えきれないだろう。
さらばうまい棒、フォーエバー!
すると、パキッと不穏な音が。見てみるとケースはところどころくぼんだり、隙間が空いたりと傷だらけに。しかし、肝心のうまい棒は形状を保ったままであった。専用ケースは見事、その身を挺してうまい棒を守ったのだ。
自らを犠牲にしてもうまい棒は守る。もはやナイトです。キュンです
日常生活で考えられるさまざまな衝撃を与えてみたものの、うまい棒が破壊されることはなかった。十分なお金と遊び心がある人は、枚方市に寄付してこのケースをゲットしてみては?取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班