台所に飾られた絵が13世紀の名画と判明 フランスの国宝に指定され美術館へ

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長年、ある女性宅のキッチンに飾られていた絵画が、行方不明になっていた有名画家の傑作であることが判明した。フランスで国宝級とされた大発見を、『Smithsonian Magazine』や『UPI』が報じている。

ゴシック期にあった1280年頃のイタリアで、画家のチマブーエによって描かれた『嘲られるキリスト』が、90歳のフランス人女性宅の台所に飾られていたことが判明した。
この10×8インチ(約25センチ×18センチ)の絵は、長く行方不明とされていた。女性は絵がどこから来たのか記憶になく、家を片付けた際に、価値を知らずに捨てようとしていたという。
その後、家族が専門家を呼び、非常に価値のある絵画との評価が下されたのだ。

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チマブーエは1240年頃にイタリアで生まれ、フィレンツェ派の始祖と呼ばれている。現存する作品はわずか15点で、『嘲られるキリスト』はキリストの磔刑と受難を描いた二部作の一部であり、他には2点しか確認されていない非常に貴重な作品である。
作品の真偽について、パリの美術専門家であるエリック・トゥルカンさんは、「13世紀の作品であり、他の2枚と同じ寸法、様式、色合いを持っていたため、チマブーエの作品であることに疑いはない」と結論づけている。

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『嘲られるキリスト』は発見後の2019年にオークションにかけられ、ロンドンのアートディーラーであるファブリツィオ・モレッティさんが、見積額の4倍以上の約2,680万ドル(約40億5,200万)で落札。しかしフランス政府はこの作品を「国宝」に指定し、国外への持ち出しを30ヶ月間禁止した。
この措置が広く知られたことで、結果的にルーヴル美術館が購入資金を調達する機会を得た。
名画の海外流出を食い止めたフランス文化省は、「これはルーヴル美術館の並外れた動員力の結果」と称賛し、チマブーエの絵は2025年にルーヴル美術館の展覧会で展示される予定だ。
なお絵画をもともと所有していたフランス人女性は、絵画を売却した2日後に亡くなり、遺産は3人の相続人によって引き継がれている。