NISAを始めるなら2023年・2024年どっちがいい? 制度の違いやおすすめの開始時期を解説

新NISAの開始が目前に迫った今、「NISAは今年中に始めておくべき?」「来年まで待ったほうがいいの?」と悩む人もいるでしょう。NISAを始めるなら2023年と2024年、どちらがいいのでしょうか。

この記事では、現行NISAと新NISAの違いや、NISAを始めるのにおすすめの時期、その理由などについて詳しく解説します。いつNISAを始めたらいいのか決めかねている人は、ぜひ参考にしてください。

■新NISAとは? 現行NISAとの違いは

そもそも、現行NISAと新NISAにはどのような違いがあるのでしょうか。現行NISAからの変更点を以下にまとめました。
<つみたてNISAと一般NISAが一本化される>

これまでのNISAは、つみたてNISAと一般NISAを同時に利用することができず、「つみたてNISAから一般NISAへ、または一般NISAからつみたてNISAへの変更は1年単位なら可能」というルールがありました。

しかし、新NISAでは両者が一本化され、どちらも同時に使えるようになります。新NISAでは、これまでのつみたてNISAは「つみたて投資枠」に、これまでの一般NISAは「成長投資枠」に名称を変え、この2つの枠が併用できる制度設計なのです。

つみたて投資枠の対象商品はつみたてNISAと同じで、「長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託」。一方、成長投資枠では投資信託に加えて株式も対象です。

そのため、成長投資枠は使わずつみたて投資枠のみでコツコツ資産形成することもできますし、つみたて投資枠での積立投資と並行して、成長投資枠では好きなタイミングで個別株をスポット購入する、という使い方もできます。

2つの枠が同時に使える新NISAでは、それぞれの枠のメリットを生かしながら、自身の投資スタイルに合わせた柔軟な資産運用が可能になるでしょう。

<非課税保有限度額が拡大する>

これまでのNISAの非課税保有限度額は、つみたてNISAが800万円、一般NISAが600万円でした。しかし、新NISAではつみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能になり、非課税保有限度額は合計1,800万円と大幅にアップします(成長投資枠は1,200万円まで)。

また、年間投資枠も大きくなります。これまでのつみたてNISAの年間投資枠は40万円でしたが、つみたて投資枠では3倍の120万円に拡大。これまでの一般NISAの年間投資枠は120万円でしたが、成長投資枠では2倍の240万円に拡大します。これにより、新NISAの年間投資枠は最大360万円になります。

さらに、新NISAではNISA口座内の金融商品を売却すると、その分の非課税投資枠の再利用が可能です。枠が復活するのは翌年以降ですが、非課税で投資できる機会をこれまでより格段に増やすことができます。
<制度が恒久化し、非課税保有期間が無期限化する>

現行NISAは2023年で制度が終了し、つみたてNISAは2042年、一般NISAは2027年で非課税保有期間が終わってしまいます。しかし、新NISAでは制度が恒久化、非課税保有期間が無期限化しました。つまり、いつでも好きなタイミングで始められ、非課税保有限度額の範囲内であればいつまでも非課税で商品を持ち続けられるようになるのです。

また一般的に、投資はその期間が長くなるほど複利効果(運用で得た利益を元本にプラスして再投資し、雪だるま式にお金が増える仕組み)が大きくなり、より多くの成果を得ることが期待できます。新NISAは非課税保有期間が無期限になるため、こうした長期投資の恩恵を受けやすくなります。

さらに、期限内に焦って非課税枠を使い切る必要もなくなりますので、自分のペースに合わせた無理のない投資が可能になるでしょう。
■NISAは年内に始めるべき? それとも来年でもいい?

では、NISAは今年と来年以降、どのタイミングで始めるのがいいのでしょうか。まず確認しておきたいのが、現行のNISAと新NISAは別の制度であるということ。また、先ほどもあったように、現行のNISAは今年で制度が終わるものの、2023年中に口座開設と新規買付を済ませておけば、つみたてNISAは2042年まで、一般NISAは2027年まで非課税で商品を保有できます。

つまり、今年中にNISAを始めておけば、新NISAの非課税保有限度額1,800万円とは別枠で、現行NISAの分も非課税投資枠を持てるのです。たとえば、つみたてNISAなら新NISAとは別に40万円の非課税枠を保有できます。となれば、少しでも多くの非課税投資枠を確保したい人は、今年中にNISAを始めておくのがいいでしょう。

現行NISAを始めておけば、新NISAの制度開始時に利用している証券会社で自動的に新NISAの口座が開設されますので、「現行NISAのほかに新NISAの口座開設手続きもしなければならない」という手間がかかることもありません。

なお、これまでの一般NISAでは、5年間の非課税期間の後に、保有商品を翌年の一般NISA口座へ移すこと(ロールオーバー)ができました。しかし、2024年以降はこのロールオーバーができなくなります。そのため、非課税期間終了後は課税口座へ移管するか、もしくは非課税期間が終わる前に商品を売却する必要があります。

また、現行NISAで保有する商品は新NISAに直接移管できません。移管するには一度現行NISAの商品を売却し、その後新NISA口座で購入し直さなければなりません。

このような注意点があることも踏まえつつ、より多くの非課税枠を活用するには、今年中にNISAを始めておきましょう。
■NISAを始めるのに必要なこととは

今年中に現行NISAを始めるなら、まずは金融機関でNISA口座の開設を行いましょう。NISA口座の開設には税務署の審査が入るため、申し込みから開設までは2~3週間程度かかるのが一般的なようです。

口座を開設したら、商品ラインナップの中から希望する商品を選んで購入します。口座開設までの間に、自身の資金計画や投資スタイルを確認し、購入商品を選んでおくといいでしょう。

なお、今年中にNISAを始める場合、無理に投資金額を引き上げないようにするのもポイントです。たとえばつみたてNISAの場合、年間投資枠は40万円ですので、毎月投資できる上限額は原則3万3,333円となります。

しかし、証券会社によっては「ボーナス設定」「増額設定」といったサービスがあり、その設定を使えばつみたてNISAの年間投資枠40万円を使い切れる場合があります。

ただし、年間投資枠を使い切るために無理して大きな金額を投資する必要はありませんし、一気に投資金額を上げるとリスクが偏る恐れもあります。そのため、今から現行NISAを始める場合は、投資金額を増やし過ぎないことも意識しましょう。
■2023年のうちにNISAを始めておくのがおすすめ

新NISA制度の開始まであと少しですが、少しでも多くの非課税投資枠を活用するなら、今年のうちにNISAを始めておきましょう。現行NISAを利用していれば新NISAの口座が自動的に設定されますので、新NISAを始める際もスムーズです。現行NISAの口座開設や新規買付ができる期間はあとわずかですので、急いで準備に取り掛かりましょう。

武藤貴子 ファイナンシャル・プランナー(AFP)、ネット起業コンサルタント 会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーやマネーコラムの執筆を展開。独立後はネット起業のコンサルティングを行うとともに、執筆や個人マネー相談を中心に活動中 この著者の記事一覧はこちら